不動産買取には、いくつかの注意点があります。不動産買取とは、不動産会社に不動産を買い取ってもらう売却方法で、急いで現金化したい場合に適しています。せっかく早く現金化できる仕組みなのに、トラブルに巻き込まれることで時間がかかってしまうことが無いようにしましょう。
この記事では、不動産買取でのトラブルを避けるための注意点をわかりやすく解説します。
不動産買取の注意点9つ
不動産買取を利用する際に後悔しないために、注意点を9つ紹介します。
- 買取の前に仲介を検討する
- 買取価格は市場価格よりも安くなる
- 買取してもらえない物件もある
- 住宅ローンを完済する必要がある
- ローン残債の支払いが続く可能性がある
- 税金や司法書士の費用がかかる
- 売却に必要な書類を準備する
- 確定申告が必要になる
- 自宅に住み続けたい場合はリースバックする
1. 買取の前に仲介を検討する
不動産買取をする前に、まずは仲介で流通市場での売却を検討しましょう。買取よりも高く売却することが可能です。
2. 買取価格は市場価格よりも安くなる
買取価格は流通市場価格よりも安くなることが一般的です。市場価格の60%〜70%程度安くなることが相場です。流通市場価格よりも安くなる理由は、不動産会社は物件を買取った後にリフォームやリノベーションをして再販売するためです。つまり、リフォーム費用などを考慮した価格で買い取ります。市場価格と買取価格の差は、物件の立地や築年数、需要と供給によっても大きく変動します。
3. 買取してもらえない物件もある
すべての物件が買取対象となるわけではありません。物件の立地や築年数、物件の状態等によっては、買取を拒否されるケースもあります。たとえば、立地条件が悪い、または、事件や事故があった物件は、買取対象外とされることがあります。この場合は、どんな物件でも買取してくれる訳あり物件を専門とした不動産買取業者へ相談しましょう。
4. 住宅ローンを完済する必要がある
不動産を売却するには住宅ローンを完済する必要があり、住宅ローンが残っている物件は、原則として売却できません。物件に設定されている抵当権を抹消できないためです。
残債がある状態で買取してもらう場合は、買取価格から住宅ローン残債を差し引いた金額が売主に支払われます。買取価格を充ててもローンを完済できない場合は、ローン完済するための差額を追加で用意する必要があります。
5. ローン残債の支払いが続く可能性がある
ローン完済までの差額を追加で用意できない場合は、任意売却という売却方法があります。任意売却を利用すると、残債の支払いが売却後も続くことがあります。買取金額がローン残債をカバーできない場合、売却後の残債の返済計画を考える必要があるでしょう。
6. 税金や司法書士の費用がかかる
不動産買取には税金や司法書士の費用が発生します。必ずかかるものとしては印紙税(数千円〜数万円程度)です。抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消登記費用として数千円と、司法書士の費用が数万円程度かかります。また、不動産を買い取ってもらって売却利益が出た場合は譲渡所得税がかかります。これらの費用がかかることを事前に確認・計算しておきましょう。
7. 売却に必要な書類を準備する
不動産の売却には多くの書類が必要となりますので、事前の準備が必要です。必要な書類としては、不動産の権利証、固定資産税評価証明書などがあります。これらの書類が不足していると、売却が遅れることがあります。不動産を購入したときの資料を準備しておきましょう。
8. 確定申告が必要になる
不動産売却による所得は確定申告が必要です。売却によって得た売却利益に対して、所得税と住民税が課されるため、所得が一定額を超えた場合、確定申告・税申告を行う必要があります。確定申告・税申告を怠ると、後で大きな追徴課税などの税金が請求される可能性があります。税申告することは義務となっています。
9. 自宅に住み続けたい場合はリースバックする
不動産買取において、自宅を売却した後もその物件に住み続けたい場合は、リースバックを利用しましょう。リースバックを利用することで、まとまった資金を得ながら、住み続けることが可能です。リースバックを利用しない場合は、決済と同時に引越しする必要があります。
買取査定を依頼するときの注意点
買取査定を成功させるためには、適切な査定をしてもらうことが重要です。適切な査定を受けるために、依頼するときの注意点を紹介します。
訪問査定してもらう
買取査定の際は、訪問査定を受けましょう。訪問査定では、物件の細部までチェックができ、より正確な査定結果が得られます。オンライン査定では、物件の実態が正確に把握できず、実際の価値より低く評価される可能性があります。そのため、正確な価格を知りたい場合は、必ず訪問査定を依頼しましょう。
物件の瑕疵やトラブルは隠さない
物件の瑕疵や過去のトラブルは、査定の際に隠さず正直に伝えましょう。瑕疵やトラブルを隠して査定してしまうと、後で発覚したときに買取価格を下げられる可能性があります。
住宅ローンが残っている物件の注意点
住宅ローンが残っている物件の場合は、ローン残高によっては買取が困難になるケースがあります。以下の注意点を押さえておきましょう。
住宅ローンの完済が必要な理由
不動産を売却する際は、仲介でも買取でも住宅ローンを完済する必要があります。この理由は、不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があるためです。抵当権を抹消するためには、住宅ローンの完済が必要なのです。
残債が多く完済できない場合は任意売却
ローン残債が多く完済できない場合、任意売却の検討が必要です。任意売却は、住宅ローンを完済できない状態でも抵当権を抹消してもらえるように債権者へ交渉し、同意を得て買取してもらう方法です。ただし、任意売却には債権者との交渉に時間がかかり、同意してもらえない場合もあるため、早めに不動産の専門家に相談しましょう。
ローン残債の支払いが続くケースがある
任意売却で売却できた場合でも、買取価格が住宅ローン残債を下回る場合は、その差額を返済し続ける必要があります。たとえば、ローン残債が1,000万円で買取価格が800万円の場合、200万円の差額を引き続き返済します。こうなると引越し先の家賃と二重支払いとなり経済的にも負担になりますので、少しでも高く買取ってもらえるように交渉しましょう。
不動産買取で起こるトラブル事例
不動産買取でよく起こるトラブル事例をみてみましょう。
買取価格が不当に安い
買取をする不動産会社の一部には、不当に安い査定価格を提示する会社も存在します。不動産の周辺相場を知らない売主の場合に、その不当に低い価格での買取に同意してしまう事例が散見されます。そのような事を避けるためには、複数の不動産会社から査定を受け、流通市場価格を正確に把握することが重要です。少しでも価格が不当に安いのではないかと、何か不適切であると感じたら、他の不動産会社にも相談してみましょう。
引き渡した後に費用を請求された
売却後に思わぬ追加費用が請求されることがあります。引き渡し後に、残置物の処分費用を請求されたり、未払いの管理費や修繕積立金が発覚し、それらの費用が売主に請求される場合があります。これを避けるためには、契約前に全ての未払い費用や必要な費用を確認し、契約書に明記しておきましょう。
契約の解除やクーリングオフができない
一度契約を結んでしまうと、契約解除が困難になることがあります。不動産買取契約は、基本的に一度結んでしまうと解除が難しくなります。契約書にクーリングオフ条項が含まれていない場合、契約解除の交渉が困難になることがあります。そのため、契約内容をよく理解し、納得してから契約を結ぶようにしましょう。
不動産買取のトラブルを回避する方法
不動産買取でのトラブルを避けるためには以下の点に注意し、安心して不動産買取を進めましょう。
不動産の市場価格を把握する
トラブルを避けるためには、まず不動産の市場価格を正確に把握しましょう。不動産の価値を正しく理解していないと、不当な価格での買取に同意してしまうリスクがあります。複数の不動産会社から査定を受けることで、物件の適正価格を把握できます。
買取保証を上手に活用する
買取保証を上手に利用することで、いつまでも売れないリスクを無くせます。買取保証を利用することで、仲介での流通市場での売却活動で、できる限り高い価格で売れるようにチャレンジしつつ、一定期間内に物件が売れなかった場合に、不動産会社が買い取ることを保証してくれるサービスです。これにより、売主は仲介と買取と最適は方法を選択することができます。
買取保証とは、仲介で買主を探しても一定期間内に物件が売れなかった場合に、不動産会社が買取ることを保証してくれるサービスです。
証拠に残る方法でコミュニケーションをとる
口頭で約束した内容は、後から言った言わないのトラブルになりがちです。約束事は必ず契約書面に記載するようにして、それまでの間もできる限りメールや書面で残しておきましょう。誰がいつどのような発言をして、どのような約束をしたのかの証拠が残るように交渉を進めましょう。
契約内容に納得してから契約する
契約内容を十分に理解し、納得してから契約することがトラブル回避の基本です。不明確な契約内容や理解しきれていない点があると、のちのちにトラブルの原因となります。契約前には契約内容を詳細に確認し、疑問点はクリアにしておきましょう。
信頼できる不動産会社に依頼する
信頼できる不動産会社に依頼することで、安心かつスムーズに買取を進められます。口コミや評判をチェックし、信頼できる不動産会社を選びましょう。また、初対面の不動産会社には慎重に接し、不安が残る場合は他の会社を探しましょう。
悪質な不動産買取業者の見分け方
悪質な不動産業者から身を守るためには、その特徴や手口を知っておく必要があります。以下は、悪質な業者の典型的な特徴です。
不動産の買取査定額が異常に安い・異常に高い
不動産の市場価格と大きくかけ離れた価格を提示する業者は、売主の知識の不足を利用して不当に安い価格で買い取ろうとする悪質な業者の可能性があります。高い査定額を提示された場合でも、他社の不動産会社を断らせた後に、色々と理由をつけて買取価格を下げてくる場合があります。査定額が他の業者と大きく異なる場合や、疑問に思ったら、対応が適切な他の専門家に相談しましょう。
営業がしつこい
しつこく営業をしてくる業者は、売主の利益よりも自社の利益を優先させていることが多いです。売却を急がされたり、契約を急がされることがあればプレッシャーを感じさせ、冷静な判断をできなくさせる可能性があります。営業がしつこい業者と契約することは避けるようにしましょう。
想定外の費用を請求される
契約後に何かと理由をつけて追加の費用を請求される場合、それは不当な請求であり、悪質な業者の可能性があります。契約前に全ての費用を確認し、書面に残しておくことでトラブルを防げます。契約する前に不明点や疑問点があれば、必ず確認してから契約しましょう。
不動産買取のトラブルにあった時の相談先
不動産買取のトラブルに巻き込まれた際は、適切な相談先に相談し、早急に解決策を見つけましょう。トラブル時の相談先を紹介します。
不動産業者が加盟している宅建協会
不動産業者の大半は「宅建協会」に加盟しており、「全国宅地建物取引業協会連合会」か「全日本不動産協会」のどちらかに加盟しています。それぞれの宅建協会は不動産取引に関する無料相談を受け付けています。不動産業者の不正行為やトラブルが発生した場合には、まずはその不動産業者が加盟している宅建協会に相談してみましょう。
参考:全国宅地建物取引業協会連合会 無料相談
参考:全日本不動産協会 全日不動産相談センターのご案内
宅地建物取引業を管理する各都道府県の窓口
宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法の規定により、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けています。そして各都道府県が不動産相談の窓口を開設しています。
まとめ:トラブルなく買取してもらえるように注意しよう
不動産買取でトラブルになるのは、契約内容をきちんと理解せずに契約してしまった場合が多いです。中には、不動産に関する知識が少ないことにつけ込む悪質な業者によるトラブルも存在します。それらを防ぐためにも、不動産の市場価格を把握し、信頼できる不動産会社を選ぶこと、契約内容をよく確認することが重要です。