不動産買取の利用を考える際、買取価格の査定相場を理解しておくことは適切な価格での取引を進める上で極めて重要です。この記事では、買取価格の査定相場について、わかりやすく詳しく説明します。
不動産買取の相場は流通市場価格の60%〜70%
一般に、不動産買取の相場は流通市場価格の60%〜70%程度とされています。この範囲内で取引されることが多いため、適切な買取価格の判断基準となります。
買取相場とリースバック相場の一覧
市場価格 | 買取査定相場(60%〜70%) | リースバック相場(70%〜80%) |
---|---|---|
1,000万円 | 600万円〜700万円 | 700万円〜800万円 |
1,500万円 | 900万年〜1,050万円 | 1,050万円〜1,200万円 |
2,000万円 | 1,200万円〜1,400万円 | 1,400万円〜1,600万円 |
3,000万円 | 1,800万円〜2,100万円 | 2,100万円〜2,400万円 |
4,000万円 | 2,400万円〜2,800万円 | 2,800万円〜3,200万円 |
5,000万円 | 3,000万円〜3,500万円 | 3,500万円〜4,000万円 |
買取相場が市場価格の60%〜70%になる理由
不動産の買取価格が市場価格よりも低く設定されるのには、いくつかの理由があります。その理由をみていきましょう。
瑕疵やトラブルがあるまま買取るため
不動産買取相場が低くなる主な理由は、不動産会社が物件を「現状のまま」買取るためです。「現況有姿」「現状渡し」とも呼ばれます。買取業者は、たとえ物件に雨漏りや設備故障など瑕疵やトラブルが存在していても、そのままの状態で買い取るリスクを負います。
契約不適合責任とは、契約内容に責任を持つことです。売却した不動産については、法律で「民法第562条:種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」と定められています。
不動産会社はリフォームして売却するため
不動産会社が買取った物件は、不動産会社が費用をかけてリフォームやリノベーションなどを施して再販売します。建物の状態によっては更地にするために解体、整地、区割り、インフラ整備等の費用を負担することもあります。これらのリフォーム費用、解体費用、その他の費用などが、買取価格から差し引かれる形で反映されます。
不動産の取得や売却には諸経費などがかかるため
不動産の取得や再販売には、税金や登記費用などの諸経費が発生します。これらの費用も、不動産会社が負担するため、買取価格はそれを考慮した上で設定されます。
不動産会社の利益分が差し引かれるため
不動産会社はビジネスとして利益を追求します。したがって、買取価格は買取、売却のコストや利益などを考慮し、差し引きするため流通市場価格よりも低く設定されます。
不動産買取が向いている物件
不動産買取が選ばれる状況はお客様により様々ですが、買取が適しているケースについてみてみましょう。
仲介による流通市場で売れない物件
仲介により流通市場でなかなか売れない物件は、買取が特に向いています。たとえば、需要が無い物件や、リフォームしないと住めないような物件は、仲介による流通市場ではなかなか買い手が見つかりません。このようなケースでは、買取業者が買取を行うことが一般的です。
事件や事故があった物件
事故物件や事件物件は、買い手から敬遠される傾向にありますが、不動産会社はこれらの物件を買取り、適切な処理やリフォームを行った上で再販売することができます。これにより、売主は迅速に物件を手放すことができる可能性があります。
建て替えやリフォームが必要な物件
建て替えや大規模なリフォームが必要な物件も、不動産買取の対象となります。「古家ありの土地」として売り出すことで仲介により流通市場で売れる場合もありますが、それよりも現状のまま不動産会社に買取ってもらって、古家あり土地とするか、更地にするか、建売にするかなど不動産のプロに物件の価値を考えてもらう方がお得になるケースがあります。
木造築20年を超えた建物等は建物価値がつかない
築20年を超えた建物は、多くの場合、建物の価値がつかなくなります。主な理由としては、建物の劣化や設備の老朽化、また最新の建築基準や性能基準を満たさないことが挙げられます。
一般的に、建物の価値は築年数が経過すると低下します。特に木造築20年を超えると、設備の老朽化や劣化が進み、買取業者も低価格での買取を余儀なくされます。建物価値が金額に反映できないことにより、売主が期待する価格での売却が難しくなる可能性があります。しかし、立地や土地の価値、周辺環境などによっては、土地の価格のみでも十分な買取価値が見込める場合もあります。
不動産買取の査定の評価項目
不動産の買取価格は、様々な項目を基に査定されます。ここでは、不動産買取の際に評価される主要な項目について解説します。
物件周辺の環境や立地
物件の価値は、その立地や周辺環境に大きく影響されます。需要が高く、交通アクセスの良さ、商業施設や公共施設が近くにあること、周辺の騒音や治安の状態等が良いことなどが評価のポイントとなります。
物件の築年数・間取り
物件の築年数が少ない場合や、間取りの使い勝手の良さ、広さも評価されます。近年では、開放感のある間取りや住宅設備等の多機能性が評価される傾向にあります。
物件の瑕疵
物件に傷や欠陥がある場合、それが評価額にマイナスとして反映されます。瑕疵は4種類あり、雨漏りなどの「物理的瑕疵」、事故物件などの「心理的瑕疵」、異臭や騒音などの「環境的瑕疵」、法令上の建築制限が課されているなどの「法律的瑕疵」があります。
物件のメンテナンス状態
物件のメンテナンス状態も査定額に影響します。定期的に適切なメンテナンスが行われている物件は価値が保たれます。
買取相場を調査するツールと方法
不動産買取の相場を知ることは、不動産を売却する際において重要です。ここでは、市場相場を調査するためのツールと方法を紹介します。
土地総合情報システム
「土地総合情報システム」は、不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できる国土交通省のWEBサイトです。土地総合情報システムを使用すると、地域の地価や不動産の取引価格を確認できます。この情報を元に、物件のおおよその価格を把握することができます。
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣が指定する流通機構(REINS)が管理する具体的な不動産取引価格情報を提供し、不動産流通市場の一層の活性化を図ることを目的として運営されています。詳細なマーケットデータにアクセスできるため、具体的な価格情報を得られます。
国土交通省地価公示・都道府県地価調査
国土交通省地価公示・都道府県地価調査は、国土交通省や都道府県が毎年発表している公示地価・基準地価を調べることできるWEBサイトです。
不動産売買のポータルサイト
不動産売買のポータルサイトでは、現在売り出し中の物件や、過去に売り出された物件の価格や相場情報が提供されています。これらのサイトを利用することで、手軽に価格情報を収集できます。
不動産会社へ査定依頼する
不動産会社に直接査定依頼をすることも、相場を知る方法です。特に、買取に強い不動産会社を選んで複数社の不動産会社に査定してもらいましょう。訪問査定によって、より適正な価格を知ることができます。
住み続けたい場合はリースバック会社へ相談する
売却しても今の自宅にそのままみ続けたい場合は、リースバック会社に相談すると良いでしょう。リースバックを利用すると、物件を売りながらも、そのまま賃貸で住み続けることが可能です。
高く買取してもらうポイント
少しでも物件を高く買取してもらうためのポイントについて解説します。
買取が得意な不動産業者へ依頼する
買取が得意な不動産業者に依頼することで、より高い価格での買取が期待できます。これらの業者は効率よく物件を再販売する方法を把握しており、適切な価格を提示してくれることが期待できます。
複数の不動産会社に査定してもらう
複数の不動産会社に査定を依頼することで、各社の査定額を比較できます。これにより、最も高い価格での買取を目指すことができます。
買取保証を上手に利用する
買取保証サービスを利用することで、仲介業者により流通市場での売却にチャレンジしながら、売れなかった場合は買取を保証されます。これにより、安心して物件を売却活動をすることができます。
急いで資金が必要ならリースバックもある
まとまった資金が急いで必要な時は、リースバックを検討すると良いでしょう。リースバックなら、物件を売却しながらも引き続き住み続けることができます。リースバック専門店「イエする」は最短5日で現金化が可能で、全国対応しています。リースバックの買取相場は不動産買取相場よりも高く、市場価格の70%〜80%です。早急に現金化したいけどそのまま住み続けたい場合は、お気軽にご相談ください。
まとめ:自分の物件の価値を正しく把握しよう
不動産買取においては、市場価格の60%〜70%が一般的な相場とされています。適切な買取査定をしてもらうには、まずは自分の物件の市場価格を把握しましょう。そして、買取が得意な不動産業者への依頼や複数の不動産会社による査定、買取保証の利用など、適切な方法を取ることで、より高額な買取が可能になります。また、資金調達をしたいけど住み続けたい場合は、リースバックを検討しましょう。