不動産を売却して資金を調達するときに「リースバック」と「一般の不動産売却」とどちら選ぶべきでしょうか?今の自宅に住み続けながら資金調達をしたい場合は、リースバックを選ぶべきです。
リースバックの場合、通常の不動産売却よりも売却金額は安くなりますが、売却後も引き続き家に住み続けることができます。一方、通常の不動産売却の場合には家を高く売ることも可能ですが、家に住み続けることはできません。
リースバックと通常の不動産売却は利用すべき場面が大きく異なるので、正しい選び方を知っておきましょう。この記事ではリースバックと通常の不動産売却の違いやそれぞれのメリット・デメリット、それぞれに適している人を解説します。自宅を売却しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
リースバックと通常の不動産売却の違い8つ
リースバックとは、一言で言えば「売って借りる」方法です。不動産のリースバックは、所有している自宅をリースバック会社に売却し、賃貸借契約をして賃借人としてそのまま住み続ける方法です。詳しい内容は「リースバックとは?完全ガイド!全貌をわかりやすく解説」をご覧ください。
- 売却先がリースバック会社か一般の個人か
- 売却金額は通常の不動産売却の方が高い
- 売却・現金化までのスピードはリースバックの方が早い
- 売却後に家に住み続けられるかどうか
- 引っ越しの必要性
- 買い手を公募するかどうか
- 買い戻しができるかできないか
- 売却後の家賃支払いの有無
1. 売却先がリースバック会社か一般の個人か
リースバックと通常の不動産売却では、売却先が異なります。リースバックの場合にはリースバックの専門業者(不動産会社)が売り先ですが、通常の不動産売却の場合には相手先は一般の個人や一般の法人となります。
リースバック | リースバック事業の専門業者 |
通常の不動産売却 | 一般の個人や一般の法人 |
2. 売却金額は通常の不動産売却の方が高い
リースバックと不動産売却では、売却金額も異なります。リースバックの場合、買い手であるリースバック会社が土地や建物の不動産を自由に活用できないので、市場価格よりも買取価格が下がります。物件の条件にもよりますが、だいたい市場価格の70%~80%程度になるケースが多いです。
通常の不動産売却の場合は市場で買い手を探して売却するので、売却金額は市場価格(100%)となります。売却価格に着目すると、市場で売却した方が得になるといえるでしょう。
リースバック | 市場価格の70%~80%程度 |
通常の不動産売却 | 市場価格の100% |
3. 売却・現金化までのスピードはリースバックの方が早い
リースバックと通常の不動産売却では、売却にかかる期間も異なります。リースバックの場合、リースバック会社による査定を受けて所有者が納得すれば、すぐに家を売れるので1か月もかからず売却が完了するケースも珍しくありません。リースバック専門店「イエする」の場合は最短5日で現金化か可能です。「スピーディーに家を売れる」という点ではリースバックの方が通常の不動産売却より優れています。
通常の不動産売却の場合は、市場で買い手を見つける必要があり、売買条件の交渉も必要ですので時間がかかります。買い手の住宅ローンの関係で決済を待たされるケースもよくあり、売却活動を始めてから実際に家が売れるまで3か月~6か月程度はみておいたほうが良いでしょう。
リースバック | 売却・現金化まで最短5日(イエするの場合) |
通常の不動産売却 | 売却・現金化まで3か月~6か月程度 |
4. 売却後に家に住み続けられるかどうか
リースバックの大きな特徴は、家を売った後も家に住み続けられることです。リースバックでは「家を売っても家に住み続けられる契約」を締結するので、売却後も家に住み続けることができます。
通常の不動産売却で家を売ると、退去しなければなりません。所有権を移転した後は新しい所有者がその家に住み始めるからです。そのため、一般の不動産売却を選択した場合、家に住み続けることはできません。
リースバック | 家を売った後も家に住み続けられる |
通常の不動産売却 | 家を売った後は退去する |
5. 引っ越しの必要性
リースバックと一般の不動産売却では、引っ越しの必要性も異なります。リースバックの場合にはそのまま家に住めるので、引っ越しの必要はありません。一般の市場で不動産を売却すると、家には住めなくなるので引っ越ししなければなりません。
リースバック | 引っ越す必要なし |
通常の不動産売却 | 引っ越しが必要 |
6. 買い手を公募するかどうか
リースバックと不動産売却では、買い手を公募するかどうかにも違いがあります。リースバックの場合、専門のリースバック会社に家の所有権を移転するだけなので公募はしません。近隣の人などにも「家を売却した」とは気づかれないケースが多数です。あまり人に知られずに不動産を売却したい場合には、リースバックが適しているといえるでしょう。
一般の不動産売却の場合、買い手を市場で公募するので、不動産のポータルサイトに掲載されたり、内覧の人が訪れたりします。近隣の人などには「不動産を売ろうとしている」と知られる可能性が高くなります。
リースバック | 買い手を公募しない |
通常の不動産売却 | 買い手を公募する |
7. 買い戻しができるかできないか
リースバックでは、いったん売却した家を買い戻す(再売買といいます)ことができます。再売買をすればまた家の所有者に戻り、家賃は不要になりそのまま家に住み続けることができます。一般の不動産売却の場合、基本的に買い戻しはできません。
リースバック | 買い戻しできる |
通常の不動産売却 | 基本的には買い戻しできない |
8. リースバックは売却後に家賃を支払う
リースバックは家を借りる仕組みなので、売却後はリースバック会社へ毎月家賃を支払います。一般の不動産市場で家を売却したら、別の家を買って住み替えをすれば住宅ローンを利用すれば住宅ローンの支払いを、他の賃貸住宅に引っ越した場合は家賃を支払います。
リースバック | リースバック会社に家賃を支払う |
通常の不動産売却 | 住宅ローンや、賃貸住宅の家賃を支払う |
リースバックと不動産売却の比較
リースバック | 不動産売却 | |
---|---|---|
売り先 | 専門のリースバック業者 | 一般の個人や法人 |
売却金額 | 市場価格の70~80% | 市場価格100% |
期間 | 最短5日(イエするの場合) | 3か月~6か月程度 |
売却後に家に住めるかどうか | 住める | 住めない |
引っ越しの必要性 | なし | あり |
周囲に知られるかどうか | 知られにくい | 知られやすい |
買い戻し(再売買)の可否 | できる | できない |
売却後の家賃支払いの有無 | ある | 次の住まいによる |
リースバックと不動産売却とどちらがいいのか?
リースバックと一般市場での不動産売却はどちらが良いのでしょうか?それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
リースバックのメリット
リースバックには以下のようなメリットがあります。
- まとまった資金を短期間で調達できる
- 住み慣れた自宅に住み続けられる
- 所有者としての税金コスト負担がなくなる
- 家の売却を周囲に知られにくい
- 年齢制限がなく保証人も不要
- お金の使い道は自由
- 買い戻す(再売買)こともできる
リースバックのメリットの詳しい内容は下記の記事で解説しています。
リースバックのデメリット
リースバックには以下のようなデメリットがあります。
- 自宅が所有資産ではなくなる
- 物件を自由に使えなくなる
- 売却価格が相場より安くなる可能性がある
- 家賃を払う負担が生じる
- いつまでも住み続けられる保証はない
- オーバーローンの場合は利用できない
リースバックのメリットの詳しい内容は下記の記事で解説しています。
通常の不動産売却のメリット
一般の不動産売却には以下のようなメリットがあります。
- 高く売れる
一般の不動産売却の場合、市場で売却するので、物件は市場価格で売れます。リースバックリースバックより高額で売れる可能性が高いのはメリットといえるでしょう。 - 売却先を選べる
一般の不動産売却の場合、売却先を自由に選べます。たくさんの買い手候補の中から高額で買い取ってくれる人を選ぶことも可能です。リースバックのように、売り先が専門のリースバック業者に限定されないのは一種のメリットといえるでしょう。 - 売却後の選択肢が多数ある
一般の不動産売却の場合、売却後は賃貸物件に引っ越してもかまいませんし新しく家を買って住み替えてもかまいません。賃貸物件でも住み替え先の家でも、資金の範囲内であれば自由に選べます。リースバックと異なり売却先の選択肢が多数あることも一般市場での売却のメリットといえるでしょう。
通常の不動産売却のデメリット
一般の不動産売却には以下のようなデメリットもあります。
- 売却すると家には住めない
一般の不動産売却の場合、売却後は家に住めません。売却後も住み慣れた家に住み続けたい方にとっては大きなデメリットとなるでしょう。 - 家の買い戻しもできない
一般の不動産売却の場合、家の買い戻しもできません。将来は家の所有者に戻りたい人にとってもデメリットになります。 - 時間がかかる
一般の不動産市場で家を売却するには3か月~半年以上の期間がかかるのが通常です。スピーディーな売却は難しいことも一般の不動産売却のデメリットといえるでしょう。
リースバックが合っている人
ここまでリースバックと一般の不動産売却を比較してきましたが、中でもリースバックが適しているのは以下のような人です。
- 家を売っても家に住み続けたい人
- 将来は家を買い戻したい人
- 住宅ローンを完済して負担を減らしたい人
- 資金が必要な人
- 2〜3年家に住めればその後は引っ越ししてもかまわない人
- なるべく早く家を売りたい人
家を売っても住み続けられるのがリースバックの最大のメリットです。将来の買い戻し(再売買)もできるので、将来的に家の所有者に戻りたい人にもリースバックが適しています。
定期借家契約の場合、2、3年が経過すると賃貸借契約が終了するケースが多いので、その後は退去しても良い方に適しています。ただし普通借家契約なら期間制限なしに住めるので、リースバック後も長く家に住みたいなら普通借家契約や定期賃貸借契約でも再契約可能なリースバック業者と契約すればこの問題は克服できます。
不動産売却が合っている人
以下のような人は、リースバックよりも一般の不動産売却が適しています。
- 売却後、家に住まなくて良い
- なるべく高く家を売りたい
- 住み替え先が決まっている
- 売却に時間がかかってもかまわない
通常の不動産売却を利用すると、家には住めなくなります。売却後は引っ越ししても良い、住み替え先の家や賃貸物件が決まっている方に向いているといえるでしょう。
また一般の不動産売却には時間がかかります。ある程度時間をかけても家を高く売りたいなら、一般の不動産売却に適している状況といえます。
不動産売却の種類は4つある
「不動産売却」とは、不動産市場で不動産を売却することを表すのが一般的です。不動産仲介会社を通じて買い手を探してもらい、買い手が見つかったら条件交渉をして売買契約を締結し、不動産を売却する流れとなり、任意売却や不動産買取も「不動産売却」に含まれます。不動産売却には、以下の種類があります。
- 一般売却
- 任意売却
- 競売
- 不動産買取
一般の不動産売却の流れ
一般売却を選択できるのは、住宅ローンを完済している場合、自己資金や不動産の売却代金などで住宅ローンを完済できる場合です。所有者の意思で不動産を売却する方法なので、売却価格、売却期間、売却時期などを自由に決められます。最も一般的な不動産売却といえるでしょう。通常の不動産売却の流れは以下のとおりです。
任意売却
不動産売却の特殊な方法として任意売却もあります。任意売却とは、住宅ローンの返済などが滞り、金融機関が競売にかける前に自分で住宅を売却するという方法です。
売却しても住宅ローンが残る不動産を、債権者(主に金融機関)の合意を得て売却し、残債を返済する方法です。住宅ローンを滞納しているときや今後の返済が不可能と判断されたときに、債権者の合意を得て選択できます。売却後に残った債務は、債権者と協議の上、一括返済または分割返済します。売却価格、売却期間、売却時期などを自由に決めることはできません。しかし、債権者と交渉できるため、ある程度の融通は利きます。
任意売却の場合でも、不動産の売り先は一般の個人や法人であり、売却価額は市場価格となります。ただし売却金は優先的に住宅ローンなどの返済に充てられます。任意売却と一般的な不動産売却との違いは以下のとおりです。
- 債権者(主に金融機関)の承諾が必要
- 売却金は住宅ローンの支払に使われる
- 期間制限がある
競売
競売は、債権者からの申し立てを受けた裁判所が、不動産を差し押さえて売却し、その代金を債務の返済に充てる方法です。住宅ローンを融資している金融機関などが、返済困難になっている債務を回収するため、裁判所に申し立てます。不動産を強制的に売却されてしまうため、売却価格、売却期間、売却時期などを自由に決めることはできません。
売却価格は、入札で決まります。市場価格の5~6割程度になることが多いようです。競売後に残った債務は、一括返済、または分割返済することになります。
不動産買取
不動産売却の方法として、不動産買取といった手段もあります。不動産買取とは、不動産会社に直接不動産を売却する方法です。市場で買い手を探さなくて良いので、市場売却に比べて早めに売却できるメリットがあります。ただし売却金額は市場価格の60%~80%になってしまうケースが多く、金額的には安くでしか売れません。またリースバックと異なり、家に住み続けることはできませんし、買い戻しも不可能です。
不動産買取を利用するのは、主に以下のような人に限られるでしょう。
- 家に住み続ける必要がない
- 家を早く売りたい
- 一般の不動産市場で買い手が見つからない物件
不動産売却とリースバックは仕組みも特徴も異なる
不動産売却とリースバックは、自宅などの不動産を活用して資金を調達する手段です。ただし、仕組みと特徴は大きく異なります。不動産を売却して転居する不動産売却に対し、リースバックは売却後も賃貸で自宅に住み続けられます。転居費用がかからないうえ、ご近所さんに知られることもありません。現金化のスピードが速い、再売買が可能といった特徴もあります。
不動産売却とリースバックを比べると、柔軟性や利便性はリースバックのほうが高いといえるでしょう。不動産売却を検討中の方は、リースバックも候補に加えてみてはいかがでしょうか。
まとめ:売却後も家に住みたいならリースバック
リースバックと不動産売却の根本的な違いは、リースバックでは売却後も家に住み続けられるけれども一般の不動産売却では住めなくなることです。売却後も家に住みたいなら、リースバックを選択しましょう。
リースバックには近隣住民に知られにくい、早く家を売れるなどのメリットもあります。住宅ローン返済中の場合にも残債額より高く売れれば完済して負担を減らせます。借金返済や住宅ローン返済、生活費不足やその他の事情によって資金が必要な場合、ぜひリースバックの利用を検討してみてください。
イエするはリースバックの専門店であり、定期借家契約だけではなく普通借家契約にも対応しており、お客様のさまざまなニーズにお応えできます。関心がありましたら、お気軽にお問い合わせください。