住宅ローンの返済が難しくなったとき、任意売却が選択肢にあがることがあるでしょう。任意売却は聞き慣れない言葉かもしれませんが、競売を避けることができるため債務者にとってメリットが多い仕組みです。
しかし任意売却にはタイムリミットがあり、住宅ローンを滞納し始めてから6か月〜10か月以内には任意売却を済ませる必要があります。この記事では、任意売却と不動産を売却してからローン返済手続きまでの流れをわかりやすく解説します。
任意売却の手続きと流れ、かかる期間
住宅ローン滞納から任意売却の手続きは、下記の8つの流れがあります。任意売却は一般的に3か月~6か月くらいの期間がかかりますので、住宅ローンを滞納しそうな場合は早く任意売却の専門家に相談しましょう。
STEP1 | 金融機関から督促が届く(手紙・電話) |
STEP2 | 現状を把握して金融機関へ相談する |
STEP3 | 不動産会社の選定と物件価格の査定 (住み続けたい場合はリースバック会社に相談) |
STEP4 | 債権者へ交渉し同意を得る |
STEP5 | 売却活動の開始 |
STEP6 | 不動産の売買契約を締結する |
STEP7 | 不動産の決済・引渡し |
STEP8 | 新生活のスタートと残債務の返済 |
金融機関から督促が届く(手紙・電話)
住宅ローンの返済が1回でも滞ると、金融機関から手紙や電話で支払いを促す連絡が入ります。それでも支払わない場合は、金融機関から督促状が届きます。
そのまま滞納を続けていると、3か月〜6か月くらいの間に「期限の利益の喪失通知」が届きます。この通知が届くと、住宅ローンの一括返済を求められます。金融機関からの連絡を無視すると「返済する気持ちがない」と受け取られる可能性がありますので、連絡を無視することはやめましょう。
現状を把握して金融機関へ相談する
住宅ローンの返済が困難な状況になったら、まずは現状を把握しましょう。その次に、金融機関に相談します。返済が難しい理由や現在の状況、今後の家計の見通しを説明することで、返済期間を延長するなど返済プランを見直してくれることがあります。
現状を把握する項目
- 現在の家計状況
- 今後の家計の見通し
- 不動産の市場価値(不動産ポータルサイトで近くの似ている物件の販売価格を確認できます。)
- 残っている債務の額(金融機関に問い合わせることで確認できます。インターネットで各金融機関のマイページから確認することもできます。)
不動産会社の選定と物件価格の査定(住み続けたい場合はリースバック会社に相談)
オーバーローンで住宅ローンの残債が多い場合は、任意売却を選択することになるでしょう。そうなったら信頼できる任意売却の専門家に相談します。まず、自宅の所在地が対応エリアである任意売却専門店を選びましょう。
ホームページで任意売却の実績が豊富であるかを確認し、口コミや評判も確認しましょう。実際にサービスを利用した人の声を確認することも重要です。同時に、共同名義人や保証人がいる場合は任意売却することを話して理解を得ておきましょう。
自宅に住み続けたい場合は、リースバック会社へ相談しましょう。任意売却とリースバックを利用することでそのまま住み続けられる可能性があります。
債権者へ交渉し同意を得る
任意売却を進めるためには、債権者の「同意」が必要です。任意売却のみの場合は任意売却専門の不動産会社が、リースバックを利用する場合はリースバック専門会社が債務者にアドバイスを行い、債務者が債権者と交渉を行います。
このとき債権が金融機関にあれば金融機関と交渉を行いますが、期限の利益の喪失をしていて保証会社へ債権が移っている場合は保証会社と交渉を行います。
売却活動の開始
債権者から任意売却の同意が得られたら、不動産会社を通じて物件の売却活動を開始します。不動産ポータルサイトに掲載したり、内覧を受け入れて購入してくれる人を探します。もし価格設定が高くて買い手が見つからない場合は、販売価格を下げることを検討します。この段階になると、周囲の方に不動産を売却しようとしていることがわかってしまう可能性があります。
リースバックを利用する場合は、リースバック会社へ不動産を直接売却しますので、一般の人に不動産の売却情報が公開されることはありません。購入者を探す手間も省かれます。
不動産の売買契約を締結する
不動産の購入者が見つかったら、債権者へ購入申し込み書や売却価格、その他諸経費が書かれた「配分表」を提出します。この書類は不動産会社が用意しますので内容を確認しましょう。この段階になると、残債がいくら残るのかがはっきりわかりますので、任意売却後の残債の返済金額もわかります。そして、購入者と不動産の売買契約を締結します。
不動産の決済・引渡し
売買契約が成立すると、売却代金の決済と物件の引渡しを行います。不動産の所有権移転登記と、抵当権抹消登記を行います。この段階で、不動産の所有権が変わります。そして、売却代金から住宅ローンを返済します。
任意売却の場合は、引き渡し日を買い主と相談して調整することが可能です。家族の仕事や子どもの学校のスケジュールなど、引っ越しまでの準備を考慮してある程度の融通を聞いてくれることが多いでしょう。
新生活のスタートと残債務の返済
任意売却後は、新しい生活をスタートさせるとともに、もし残債務があればそれを返済していきます。任意売却を経て新しい生活を始める際には賃貸住宅へ引越しする場合が多く、家賃の支払いが始まるケースが多いでしょう。家賃の支払いと生活費に加えて、ローン残債の返済計画も考慮し、しっかりとした計画を立てて再び経済的な困難に陥らないよう努力しましょう。
任意売却をスムーズに進めるポイント
任意売却をスムーズに進めるためには、事前の準備が重要となります。ここでは、そのポイントを具体的に解説します。
- 住宅ローンの残高確認方法
- 同意が必要な人に話をする
- 任意売却業者の選び方
- リースバック会社の選び方(自宅に住み続けたい場合)
- 任意売却後の生活計画
1. 住宅ローンの残高確認方法
住宅ローンの残高を確認することで、今後の対応方法や選ぶべき選択肢がわかります。金融機関に直接問い合わせるか、インターネットで各金融機関のWEBサイトのマイページから確認する方法があります。また、金融機関からの残高通知書を通じても確認することができます。
2. 同意が必要な人に話をする
任意売却を行う前に、同意や協力が必要な家族や関係者に状況を説明しておきましょう。たとえば、住宅ローンの連帯保証人や共同名義人、または同居家族など、関係者に現在の状況と今後の意向を話しておくことで、後のトラブルを避けることができます。任意売却は連帯保証人や共同名義人の同意がないと利用できませんので、事前に理解をしてもらえると手続きがスムーズに進みます。
3. 任意売却業者の選び方
任意売却はスピードが大切です。問い合わせに迅速に対応してくれる不動産会社を選びましょう。対応が遅いと競売が進んでしまって任意売却できなくなる可能性があるためです。そして、ホームページで任意売却の実績が豊富であるかを確認し、口コミや評判も確認しましょう。実際にサービスを利用した人の声を確認することも重要です。
4. リースバック会社の選び方(自宅に住み続けたい場合)
リースバックを利用する場合は、リースバックの専門店を選びましょう。専門店は実績が豊富で、住宅ローンの支払いが困難になった方々の相談を数多く受けており、多くの方を解決に導いています。普通のリースバック会社は、任意売却の経験がない場合が多く、対象エリアが大都市に限られている場合があります。リースバック専門店「イエする」は全国どこでも任意売却を含めたリースバックの相談対応をしていますので、リースバックをご希望の場合はまずご相談ください。
5. 任意売却後の生活計画
リースバックを併用しない場合は任意売却後の新しい生活に向けて、しっかりとした計画を立てましょう。引越しをする場合は賃貸住宅を探す必要があり、住所の変更も伴います。お子さんがいる場合は転校が必要なケースもあるでしょう。再就職や転職、家計の見直しなど、多くの点で生活環境が変わることが予想されますので事前に考えて準備することが大切です。状況が落ち着くまでは、親族を頼って一緒に暮らすことも良いでしょう。
任意売却のメリット・デメリット
任意売却のメリットとデメリットをみてみましょう。
任意売却のメリット
任意売却には、次のメリットがあります。
- 競売を回避できる
- 市場相場に近い価格で売却できる(競売より高い)
- リースバックを利用すれば自宅に住み続けられる
- 所有者の情報を非公開にできプライバシーが守れる
- 持ち出し金がいらない
- 引渡し日を相談することができる
- 引越し費用を出してもらえるケースが多い
- 残債を分割返済にできる
任意売却のデメリット
任意売却には、次のデメリットがあります。
- 債権者の同意が得られないと売れない
- 競売までのタイムリミットがある
- 自宅から引っ越す必要がある
- 残債の支払いが続く
- 共同名義人の同意が必要
- 連帯保証人の同意が必要
- 滞納3か月以上で信用情報機関に登録されるリスクがある
- 内覧や撮影など販売活動に協力する必要がある
- 任意売却をどこに頼めばいいかわかりにくい
リースバックの住宅ローン完済事例
リースバック専門店「イエする」のリースバックを利用して、住宅ローンの完済に成功しながらも自宅に住み続けられた成功事例を紹介します。
住宅ローン完済に成功した理由とポイント
住宅ローン完済に成功した理由として、みなさん早い段階で相談いただきました。また、自宅に住み続けたいという強い気持ちがあり、リースバックを利用するためにできることを実行したことがポイントです。他にもリースバックで住宅ローン返済の困難を解決できた成功事例がたくさんありますのでご覧ください。