リースバックを利用すると自宅に何年住めるのでしょうか?
せっかくリースバックを利用してもすぐに退去しなければならないなら意味がないと考える方も多いでしょう。いつまで住めるのかは利用者にとって重要です。
一方で引っ越し予定があるなどの事情で、一時的にのみ住めれば良い、という方もおられます。
リースバックで何年住めるのかは、リースバック契約を締結した際の契約内容によって大きく変わってきます。後で「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、契約の種類や意味内容を確認しておきましょう。
この記事ではリースバックで自宅に何年住めるのか、パターンごとに解説します。
これからリースバックを利用しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
リースバックを利用すると自宅に何年住めるのか
リースバックを利用すると、家の所有権を失っても家に住み続けることができます。
リースバックとは、不動産会社等へ物件を売り、その不動産会社から物件を借りる契約です。
リースバックを利用すると、家は購入者のものとなりますが、もとの所有者は「借主」として家に住み続けることができるのです。
ただし借主の立場は所有者とは異なり不安定です。いつまでも家に住み続けられるわけではありません。契約時、何年住めるのか目安を知っておくことが重要です。
結論的に、リースバック後に家に住める期間は2~3年程度であるケースが多数となっています。ただし10年以上住める場合もあります。
また、リースバックの契約には「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」があります。

普通借家契約とは
普通借家契約とは、原則的な賃貸借契約です。
貸主は借主へ物件を賃貸し、借主が契約の目的に従って物件を利用します。
物件は借主によって長く利用される前提であり、貸主による自由な解約は認められません。
契約途中での解約は基本的に認められませんし、契約期間を定めない場合にも契約を終了させるには「正当事由」が必要です。
契約期間が満了しても貸主が更新拒絶するにはやはり「正当自由」が必要になります。つまり普通賃貸借契約の場合、契約更新が前提となっていて、契約期間満了による終了は例外的なケースになるのです。
なお、借主からの解約であれば、比較的自由に認められます。
正当事由とは
普通賃貸借契約で契約を終了させたり更新を拒絶したりするには「正当事由」が必要です。では正当事由はどのような場合に認められるのでしょうか?
建物の賃貸借契約において借主は強く保護されるので、正当事由はかなり厳しく評価されます。単に「借主が使いたい」というだけでは正当事由が認められません。以下のような事情があると、正当事由が比較的認められやすくなるでしょう。
- 建物が老朽化していて建替えの必要性が高い
- 借主が実際に物件に居住していない
- 借主には他に利用できる物件がある
- 貸主側にどうしても物件を利用しなければならない事情がある
なお正当事由があっても、補完するために貸主が借主へ立ち退き料を払わねばならないケースもあります。
普通賃貸借契約は、借主側に有利な契約形態といえるでしょう。
リースバック契約後、普通賃貸借契約なら何年住める?
リースバック契約を締結して家を売却した後、普通賃貸借契約を締結したら家に何年住めるのでしょうか?
普通賃貸借契約の場合、住める期間はケースによって大きく異なります。
基本的に貸主からの解約や更新拒絶が難しくなり、借主の意思次第で期間が決まるようになるためです。
たとえば10年や20年、それ以上の期間、家に住める可能性もあります。ただし、物価の変動などにより更新時に家賃があがることもあるので、念頭に入れておきましょう。
また正当事由によって貸主から賃貸借契約の終了と退去を求められるとしても、立ち退き料を払ってもらえるケースが少なくありません。
定期借家契約とは
定期賃貸借契約とは、契約期間があらかじめ定まっている賃貸借契約です。
定期賃貸借契約では期間の定めのない契約はできず、必ず期間を定めなければなりません。期間が満了すると、当然に契約が終了します。普通賃貸借契約と違って更新はできません。
ただし、貸主及び借主が合意した場合は、再度、定期賃貸借契約を締結する方法もあります。
定期賃貸借契約を終わらせる際には正当事由が不要で、期間さえ終わればすぐに借主を退去させられます。もちろん立ち退き料の支払も要りません。
こういった意味で、定期賃貸借契約は貸主にとってメリットの多い契約形態といえるでしょう。
リースバック契約後、定期賃貸借契約なら何年住める?
リースバック契約を締結して、定期賃貸借契約が適用されるとだいたい何年くらい住めるのでしょうか?
定期賃貸借契約の期間は自由に定められます。リースバック契約の実務ではだいたい2~3年に設定するケースが多数です。定期賃貸借契約を利用すると、家には2~3年しか住めないケースが多いといえるでしょう。
ただし定期賃貸借契約の期間は当事者の話し合いによって自由に定められるので、もっと長く住みたい場合には不動産会社と交渉するようおすすめします。
また、上記に記載したように、貸主と借主双方が合意すれば、期間が満了しても再度賃貸借契約を締結することも可能です。
【普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の違い 一覧表】
普通賃貸借契約 | 定期賃貸借契約 | |
---|---|---|
契約期間 | 1年以上でなければならない1年以下にした場合「期間の定めのない賃貸借契約扱いになる | 期間制限はない |
期間の定めのない賃貸借契約の可否 | 期間の定めのない賃貸借契約も可能 | 期間の定めのない賃貸借契約はできない(必ず期間を定める必要がある) |
書面による契約書作成 | 不要(口頭でも成立する) | 必要 |
事前に説明文書の交付 | 不要 | 必要 |
契約期間満了時の更新 | 更新が前提となっている | 更新できない(再契約可能な場合あり) |
正当事由の要否 | 貸主からの更新拒絶や解約に正当事由が必要 | 不要 |
リースバック後も長く住みたい場合は普通賃貸借契約を選ぶ
普通賃貸借契約と定期賃貸借契約を比べると、借主にとっては普通賃貸借契約の方が有利です。普通賃貸借契約の場合、契約を終了させるには正当事由が必要ですが、正当事由が認められるケースは少ないためです。
リースバック後も家に長く住みたい場合には、普通賃貸借契約を選ぶか、定期賃貸借でも再契約が可能かを確認しましょう。
リースバックの賃貸契約で注意すること
リースバックの賃貸借契約を締結する際には、以下のような点に注意しましょう。

不動産会社によって住める期間が異なる
ひとことで「リースバック」といっても、サービス内容は不動産会社によってさまざまです。物件に長く住める業者もあればそうでない業者もあります。
たとえば定期賃貸借家契約で2年が設定されている場合、家には2年しか住めません。(再契約可能は場合は住み続けることができます)一方普通賃貸借契約を選択できる不動産会社の場合、10年でも20年でも住める可能性があります。
リースバックの賃貸借契約では、契約内容によって住める期間が大きく異なる可能性があることを知っておきましょう。
特殊な状況の場合は公正証書を作成する
通常のリースバック契約で行う賃貸借契約は、公正証書の必要はありません。
公正証書とは、公務員の一種である公証人が作成する公文書です。一般的なリースバック契約では公正証書を作成することはありません。
公正証書にする必要があるのは、事業用定期借地権の契約などです。
また、賃貸物件所有者の判断能力低下が予測される場合には、任意後見人(代理人)に賃貸借契約を引き受けてもらう必要があり、この「任意後見契約」そのものは公正証書による契約が義務付けられています。
早期退去を求められた場合
定期賃貸借契約であっても、期間中の途中解約は基本的にできません。リースバック契約後、不動産会社が自己都合で契約期間中に退去を求めてきても、応じる必要はありません。
賃料不払いなどの悪質な事情がなければ、契約期間満了時までは住むことができます。
賃料を滞納すると退去を求められる
普通賃貸借契約でも定期賃貸借契約でも、賃料を滞納すると退去を求められてしまいます。
賃料不払いは重大な債務不履行であり、契約を解除されてしまうからです。
リースバックを利用する際にはくれぐれも賃料を滞納しないよう注意しましょう。
物件を完全に自由に使えるとは限らない
リースバックで家に住めるとしても、所有者として自由に扱えるわけではありません。
勝手にリフォームや増改築などをしてはなりませんし、ペット不可、楽器不可などの制限をつけられる可能性もあります。所有者だった頃と同様に使えるとは限らないので、理解した上でリースバックを申し込みましょう。
リースバックでずっと住み続ける方法
リースバック後も家に長く住み続けるには、以下の方法があります。

普通賃貸借契約を利用できる不動産会社を選ぶ
まずは普通賃貸借契約を利用することです。普通賃貸借契約であれば、貸主側からの解約や更新拒絶に正当事由が必要となり、賃貸借契約を終わらせるハードルが高くなります。
その結果、契約を長期にわたって継続させることが可能となります。
リースバック契約後も10年20年にわたって家に住みたいなら、普通賃貸借契約を選べる不動産会社を探しましょう。
定期賃貸借契約の契約期間を長くしてもらう、または再契約が可能か確認する。
定期賃貸借契約にしか対応していないリースバック業者も少なくありません。その場合には、定期賃貸借契約の契約期間をなるべく長くしてもらいましょう。
たとえば定期賃貸借契約で契約期間を10年にしてもらえたら、10年間は確実に住み続けられます。
定期賃貸借の期間満了時に再契約を締結する
定期賃貸借契約の期間が満了してしまったとしても、家に住み続けられる場合があります。それは「再契約」する場合です。
定期賃貸借契約は更新できないので、期間が終了すると当然に契約は終わります。ただ当事者同士の話合いで、あらためて再契約の締結が可能となっています。
定期賃貸借の期間が終わってもどうしてもまだ家に住みたいなら再契約ができないか、リースバック業者へ相談してみてください。
買い戻す(再売買)
賃貸借契約が終了しても、必ず物件から退去しなければならないとは限りません。買い戻し(再売買)ができればまた家の所有者に戻れるので、契約終了後も家に住み続けられます。
長く住みたいなら、買い戻し(再売買)を利用できるリースバック業者を選びましょう。
賃貸借契約が終了したらどうなるのか
リースバックで賃貸借契約が終了した場合、以下の3パターンによって対応します。
①退去する
1つ目は契約終了にともなって退去するパターンです。
賃貸借契約が終了して契約の延長や再契約もせず、買い戻しもしなかったら家から出ていかなければなりません。退去する場合には契約期間が満了する前に、次の引っ越し先を見つけておきましょう。
②契約期間を延長する
2つ目は賃貸借契約を延長したり再契約したりする方法です。
普通賃貸借契約なら、契約を更新するだけなので延長の手続きが簡単です。通常は両者の合意によって更新しますし、何もしなくても、契約期間満了後に貸主から異議がでなければ法定更新されます。
一方、定期賃貸借の場合には再契約が必要です。契約期間が満了する前に不動産会社と話し合って再契約の合意や手続きを行いましょう。
③買い戻しをする
3つ目は買い戻し(再売買)です。
リースバックを利用しても再度貸主から自宅を購入すれば、また所有者に戻ります。所有者になれば賃料を払う必要もありませんし、リフォームや増改築、ペット飼育なども自由にできるようになります。
リースバックは不動産会社選びが大切な理由
リースバックを利用する際には、不動産会社選びが非常に重要です。不動産会社によってサービス内容が大きく異なるからです。
たとえば「定期賃貸借契約で2年間」というサービスしか実施していない不動産会社の場合、2年以上は家に住めません。
一方普通賃貸借契約を利用できる不動産会社や定期賃貸借契約満了後の再契約を利用できる不動産会社なら、長く住むことも可能となります。
賃料などの条件も不動産会社によって異なります。
リースバックを利用する際には、なるべく柔軟に対応してくれて丁寧に説明してくれる不動産会社を選びましょう。
リースバックを利用するなら専門店がいい
リースバックの不動産会社を選ぶときには、リースバックの専門店を選択するようおすすめします。
専門店であればこれまでの実績があるので信頼できますし、柔軟に対応できるケースも多いからです。「長く住みたい」などの希望を叶えるためにも専門店を選ぶことは重要といえるでしょう。
「イエする」は全国対応のリースバック専門店です。大手にはできないきめ細やかなサービスを提供しており、お客様のご要望にも柔軟に対応しております。
他社に断られた方へのサポートに成功した事例も数多くありますので、まずはお気軽にご相談ください。
結論:リースバックで長く住みたいなら普通賃貸借契約を選ぶ
リースバックで家に長く住みたいなら、普通賃貸借契約または定期賃貸借契約でも再契約が可能なサービスを選択しましょう。顧客の要望に柔軟に対応してくれる不動産会社を選ぶことも重要です。
これからリースバックのご利用を検討されているなら、ぜひとも一度「イエする」までご相談ください。