1. はじめに
「急な資金需要が発生したが、銀行融資の審査では間に合わない」
「借入枠(与信)をこれ以上増やさずに、手元のキャッシュを確保したい」
経営における資金調達といえば「銀行融資」が一般的ですが、近年の不確実な経営環境では、融資に依存しない資金調達手段を持っておくことが重要です。
その有力な手法の一つが「事業用リースバック」です。
事業用リースバックとは、所有する不動産を売却して現金化し、その後は買主と賃貸契約を結ぶことで、事業拠点をそのまま利用し続けられる仕組みです。
実際に、電通グループやエイベックス、日産自動車などの大手企業も、財務の健全化や経営の柔軟性を高める戦略としてこのスキームを活用しています。
本記事では、これらの最新事例をもとにリースバックの仕組みを解説し、中小企業が活用する際のメリットや検討時の注意点をわかりやすく紹介します。
2. 大手企業の活用事例に見る「事業用リースバック」の仕組み
「本社を売却する」と聞くと、多くの方が「経営が苦しいのでは?」「身売りではないか?」と心配されるかもしれません。 しかし近年、リースバックは単なる延命策ではなく、経営を効率化・最適化するための戦略的な手段として活用されています。
・業績が厳しい局面では: 構造改革の資金確保(守りの施策)
・回復・成長フェーズでは: 成長投資への資金シフト(攻めの施策)
つまり、どの経営局面でも活用できる、柔軟な資金調達手法なのです。 実際、日産自動車の事例では構造改革が背景にありましたが、電通グループやエイベックス、リクルートホールディングスなども、それぞれの経営戦略に基づいてリースバックを実施しています。
① ニュースになった大手企業の活用事例
報道でも知られる通り、以下のような大手企業が、自社保有の不動産をリースバック(売却後に賃貸契約を結び、継続利用する手法)という形で資産を有効活用しています。
(1)NEC(本社ビル)
2000年、港区芝にあるNEC本社ビルを売却し、リースバックで本社として継続使用。ITバブル崩壊後の財務改善策として実施され、日本企業による事業用リースバックの先駆的事例として注目されました。
(2)リクルートホールディングス(銀座本社ビル)
2021年3月、東京・銀座の「リクルートGINZA8ビル」を不動産大手のヒューリックに売却(推定約200億円)。保有資産の効率的な運用や見直しの一環として、売却後もリース契約を結んで本社機能を継続しています。
(3)電通グループ(本社ビル)
2021年9月、東京都港区の本社ビルを約2,680億円で不動産ファンドに売却。国内不動産取引としては過去最大規模の取引として注目されましたが、売却後も11年間の賃貸契約を結び、本社機能をそのまま維持しています。資本効率の向上と、成長領域への投資資金確保を目的としています。
(4)エイベックス(本社ビル)
2020年12月、南青山の本社ビルを売却(譲渡益290億円)し、賃貸契約に切り替えて入居を継続。コロナ禍での経営環境変化に対応し、事業成長に向けた投資資金や株主還元への活用を目的とした施策でした。
(5)日産自動車(横浜グローバル本社)
2025年11月、横浜のグローバル本社ビルを約970億円で売却し、同時に20年間のリースバック契約を締結しました。これは事業構造改革「Re:Nissan」を推進するための資金確保と、資産のスリム化を目的とした戦略的な活用事例として注目されています。
② 【比較表】大手5社のリースバック活用データ
過去20年以上にわたり、業種・規模を問わず大手企業が活用してきたリースバック。主要5社の事例を整理すると、その多様性と戦略的な意図が見えてきます。
| 企業名 | 売却時期 | 売却価格 | リース期間 | 目的・背景 |
| NEC | 2000年 | 非公表 | 非公表 | ITバブル崩壊後の財務改善策 |
| リクルートHD | 2021年3月 | 約200億円(推定) | 非公表 | 保有資産の効率的な運用・見直し |
| 電通グループ | 2021年9月 | 2,680億円 | 11年間 | 資本効率の向上と成長領域への投資資金確保 |
| エイベックス | 2021年3月 | 約700億円 | 一定期間 | コロナ禍での経営資源の有効活用と財務体質の強化 |
| 日産自動車 | 2025年11月 | 970億円 | 20年間 | 事業構造改革(Re:Nissan)の推進と資産スリム化 |
これらを合計すると、約4,550億円もの資金がリースバックによって調達・再配分されていることがわかります。
③ 「資産を持たない」という合理的な経営判断
これらの事例から分かるのは、「アセットライト(資産を持たない経営)」という考え方の重要性です。 建物という固定資産を所有し続けることは、維持管理費や固定資産税がかかるだけでなく、多額の資金が不動産に固定されることを意味します。
これを売却して現金化(流動化)することで、本業の運転資金や新規投資へ資金を再配分できるようになります。 調達した資金は、DX(デジタルトランスフォーメーション)投資、M&A、設備更新など、企業の成長に必要な様々な用途に活用することが可能です。 つまりリースバックは、経営をより効率的・柔軟に進化させるための「攻めの資金戦略」といえるでしょう。
3.資金調達手段としての「事業用リースバック」のメリット
この仕組みは、大手企業だけのものではありません。 工場、倉庫、店舗、自社ビルなどを所有する企業であれば、規模を問わず有効な資金調達の手段となり得ます。
特に中小企業にとっては、銀行融資にはない以下のような「3つの実利」があります。
① 銀行融資とは異なる審査基準
銀行融資では「企業の信用力(決算書の内容)」が重視されますが、リースバックはあくまで不動産売買です。そのため、審査においては「不動産の資産価値」が重視されます。 融資枠がいっぱいの場合や、決算のタイミングで追加融資が難しい場合でも、不動産に価値があれば資金調達できる可能性が高まります。 だからこそ、銀行対応が難しい局面での有効な選択肢となるのです。

② 事業を止めずに「そのまま」現金化できる
通常の売却とは異なり、退去や移転を伴いません。 工場なら機械設備を動かさずに済み、店舗なら休業することなく営業を継続できます。 「場所」という事業基盤を守りながら、移転コストや顧客離れのリスクを最小限に抑えて、まとまった資金を確保できる点が最大の特徴です。 だからこそ、現場の混乱を招くことなく、表面上の業務に影響を与えず、財務改善を進められます。

③ オフバランス化による財務改善
不動産を売却して賃貸に切り替えることで、貸借対照表(バランスシート)から固定資産が外れます(=資産を手放してスリム化すること)。 これにより、固定資産税や都市計画税などの維持コストが削減できるほか、ROA(総資産利益率)などの財務指標が改善しやすくなり、対外的な信用力の向上に寄与するケースもあります。 だからこそ、単なる延命措置ではなく、筋肉質な経営体質への転換点となり得るのです。

4. 【重要】すべての物件が使えるわけではない「利用の条件」
リースバックは有効な手段ではありますが、すべての事業用物件でリースバックが利用できるわけではありません。 リースバックが成立するかどうかは、主に以下の「資産価値(流動性)」の観点で判断されます。
① 買主が見つかる「市場価値」があるか
リースバックは、その物件を購入する「買主(不動産会社やファンドなど)」がいて初めて成立する取引であり、「売却と賃貸の両立」が前提となります。 買主は「将来的にその物件を運用・売却できるか」という視点で判断するため、以下のようなケースでは取り扱いが難しい場合があります。
流動性が著しく低いエリア: 人口減少が進んでおり、将来的な賃貸需要や再販が見込めない地域です。例えば、過疎地域や山間部の調整区域などが該当します。
物理的・法的な制約: 建物の老朽化が激しく使用に耐えない場合や、法令上の制限(再建築不可など)がある物件です。これらは将来的な建て替えが困難なため、評価が下がる傾向があります。
② 賃料と収支のバランスが取れているか
リースバック後の賃料は、売却価格(調達金額)に応じて設定されます。 希望する調達額が高くなれば、その分、毎月の賃料も上がります。資金調達はできたものの、家賃負担で経営が圧迫されてしまっては本末転倒です。 自社の利益構造に合った、無理のない賃料設定ができるかどうかも、利用のための重要なポイントです。
5.イエするは「事業用物件」も全国対応のリースバック専門店です
事業用物件のリースバックは、住宅とは異なる専門的な知識や、適正な買い手を見つけるネットワークが必要です。 「イエする」は、リースバック専門店として、事業用物件の取り扱いにも豊富な実績があります。
① 全国エリアで柔軟に対応
都心部のオフィスビルに限らず、地方の工場や倉庫、ロードサイドの店舗など、全国の事業用物件に対応しています。 大手では対応が難しいような「数百万〜数千万円」規模の案件でも、エリアや規模だけで判断せず、お客様の個別の状況に合わせて柔軟に査定を行います。
② 専門店ならではの「事業継続」への配慮
事業用リースバックにおいて最も重要なのは、「安心して事業を続けられること」です。 イエするでは、長く使い続けられる「普通借家契約」をご提案しています。 「数年で退去しなければならない」という定期借家契約のリスクを避け、安心して長期の事業計画を立てられる契約形態を採用している点が強みです。

③ 強引な勧誘は一切行いません
「まずは査定だけ」「他社と比較したい」というご相談も大歓迎です。 無理な条件での契約や、しつこい営業行為は一切行いません。お客様の事業継続を第一に考えています。

6.【おわりに】
リースバックは、大手企業も活用する「資金調達のもう一つの有力な選択肢」です。 所有する資産を活かすことで、銀行融資に依存しすぎない、安定した財務基盤を作ることが可能になります。
検討の第一歩として、まずは自社の物件が「リースバックの対象となるか」、そして「どの程度の金額で資金化できるか」を確認してみませんか。 イエするは24時間365日、専門スタッフが無料相談を承っております。
秘密厳守で、全国どこからでもご相談いただけます。

