住宅ローンを滞納して放置すると、自宅は競売になります。どうせ払えないからと思って、金融機関や裁判所からの連絡を無視しても状況は一切良くならず、競売が完了すると強制的に退去させられてしまいます。
住宅ローンが払えない状況になったとしても、競売を回避できる方法はいくつもあります。現在の状況を冷静に把握し、今後の生活をより良いものにするための方法を探しましょう。
この記事では、競売がどのように進んでいくのか、さらに競売を回避する方法について詳しく解説します。
住宅ローンを払えないと競売になる?
住宅ローンを払えずに滞納すると、最終的に自宅は競売にかけられます。しかし、ローンを滞納したらすぐに競売になるわけではなく、3か月以上滞納すると競売の申し立てが行われることが一般的です。
そして、滞納開始から競売完了までは10か月〜16か月程度かかります。この期間は住み続けられますし、競売を回避できれば自宅を失う事態を避けられます。
競売とは?
競売とは、裁判所が強制的にその不動産を公に売却する手続きです。債権者(保証会社など)が裁判所へ競売の申し立てを行います。
住宅ローンは自宅を担保にしてお金を借りています。担保のため、ローン契約時に金融機関が自宅に「抵当権」を設定しています。ローンを滞納したときには、この「抵当権」によって競売の手続きができるのです。
住宅ローンを滞納すると、保証会社が金融機関に代位弁済を行います。そうすると、住宅ローンの債権者が金融機関から保証会社へ変わります。そして、保証会社が裁判所に申し立てをすることにより自宅が競売にかけられて、強制的に売却されます。
競売にかけられた物件を、「競売物件」といいます。競売物件は「不動産競売物件情報サイト」で全国に公開され、オークション形式で入札を行い、落札者を決定します。落札価格は、市場価格の50%~60%程度になることが一般的です。
強制的に自宅の所有権を失うので、家を出ていかなければなりません。競売によっても住宅ローンを完済できない場合は、残債の支払いを請求をされます。自己破産をしない限りこの請求からは逃れられないので、車や給与などの不動産以外の資産を差し押さえられる場合があります。
参考:不動産競売物件情報サイト 不動産執行手続の流れ(不動産執行手続の流れを閲覧できます。)
参考:不動産競売物件情報サイト
競売を回避できるケース
競売の開札が行われる前までに、リースバックや、任意売却などの不動産売却、その他の方法でローンの残債を完済するか、個人再生で債務整理を行うことで、競売を回避できます。
住宅ローン滞納から競売までの流れ
住宅ローンを払えなくて滞納すると、保証会社が債権を回収するために動き出します。ローン滞納から競売の開始、最終的に退去するまでの具体的な流れを解説します。
滞納期間 | 状況 | 詳細 |
---|---|---|
滞納1〜3か月 | 請求・督促 | ・金融機関から督促が届く(手紙・電話) |
滞納3〜6か月 | 期限の利益喪失と債権移管 | ・期限の利益の喪失通知が届く ・代位弁済で債権者が保証会社に移る ・保証会社が裁判所へ競売の申立をする |
滞納6〜10か月 | 競売開始決定と物件調査 | ・競売開始決定通知が届く ・物件の現況調査が行われる ・競売物件として全国に公開される |
滞納10〜16か月 | 競売の入札から退去 | ・入札の開始・落札者が決まる ・退去する |
【滞納1か月〜3か月】請求・督促
金融機関から督促が届く(手紙・電話)
住宅ローンを滞納すると、まずは金融機関から手紙や電話で支払いを促す連絡が入ります。ここで支払いに応じれば、引き続き住宅ローン契約を続けてくれる可能性があります。
うっかりで滞納してしまう場合もありますので、金融機関によって異なりますが2回までは住宅ローンの支払いが遅れても許容してくれる可能性があります。それでも支払わないでいると、自宅に金融機関から督促状が届きます。
【滞納3か月〜6か月】期限の利益喪失と債権移管
期限の利益の喪失通知が届く
住宅ローンを滞納してから3か月〜6か月で、金融機関から「期限の利益の喪失通知」が届きます。「期限の利益」とは「分割払いの権利」のことです。つまり、期限の利益が喪失すると、住宅ローンの分割返済は出来なくなり、一括返済を求められます。そしてこの段階で、信用情報機関へ事故情報として登録されます。(いわゆるブラックリスト)
期限の利益は、住宅ローンの支払いが3回遅れた場合に喪失することが一般的です。期限の利益を喪失した後に滞納分をまとめて返済したとしても、再度分割払いをすることはできません。この後も分割で住宅ローンを返済をしたい場合は、個人再生で住宅ローン特則を使って債務整理をするしかありません。
代位弁済で債権者が保証会社に移る
期限の利益の喪失通知から1か月ほど経つと、次は保証会社から「代位弁済通知」が届きます。住宅ローン契約には保証会社がついており、ローンを滞納すると、金融機関から保証会社へ債権が移ります。この結果、今後は保証会社に対して返済する立場となります。
保証会社が裁判所へ競売の申立をする
ここまでに住宅ローンの一括返済をしない場合、保証会社は裁判所に競売の申し立てを行います。
【滞納6か月〜10か月】競売開始決定と物件調査
競売開始決定通知が届く
住宅ローンを滞納してから6か月〜10か月で、裁判所から「競売開始の決定通知」が届きます。この通知は、競売が実際に開始されることが確定したことを意味します。
物件の現況調査が行われる
裁判所に任命された執行官が実際に自宅に訪問してきて、競売のために、物件の評価や現状調査を行います。土地や建物の状況や、周辺環境などを直接確認し、物件の査定を行います。
ちなみに、執行官による現況調査を拒否する方法はありません。自宅への立ち入りを拒否したとしても、強制的に鍵を開けられて立ち入り調査が行われます。強制執行ですので、立ち入りを拒否することはできません。
競売物件として全国に公開される
最低入札価格が決まって入札の準備が整ったら、裁判所から「期間入札決定通知」が届きます。いつからいつまでの期間で入札が行われるかを通知するお知らせです。そして購入希望者を集めるために、「競売物件」として全国へ情報が公開されます。
【滞納10か月〜16か月】競売の入札から退去
入札の開始・落札者が決まる
住宅ローンを滞納してから10か月〜16か月で、落札者が決定します。一番高い価格で入札した人が、物件を落札します。
退去する
落札者が決定すると、裁判所から売却許可がおります。そして落札者が代金を納めると、物件の所有権が移ります。所有権が移転すると物件は正式に新しい持ち主のものになり、元の所有者は退去を求められます。この退去を拒否することはできません。
また、競売しても住宅ローンを完済できなかった場合でも、残債の返済は免除されません。保証会社に対して引き続き返済が必要です。
競売を回避するための対処法
競売になると、市場価格の50%~60%程度で売却されることが一般的です。つまり安く売った分、残債額が多く残ります。自己破産をしない場合は、競売を回避した方が債務者にとってはメリットが大きいでしょう。
さらに、競売になると自宅の住所や外観の写真、不動産の権利関係などがインターネットで公開されることで、「この不動産の持ち主がローンを滞納した」という事実が公開されます。
競売を避けるための対処法は複数あり、住宅ローンを滞納していない状態では、全ての対処法が選択可能です。しかし、住宅ローン滞納から時間が進むにしたがって、対処法は限られてきます。競売の落札者が決定するまでに対処し、競売を取り下げてもらわなければならないためです。
滞納期間 | 状況 | 競売にならないための対処法 |
---|---|---|
未滞納 | 1. 金融機関へ返済猶予の相談する 2. 住宅ローンを借り換える 3. 保険が適用できるか確認する 4. リースバックを利用する 5. 通常の不動産売却・任意売却する 6. 個人再生で債務整理する | |
滞納1〜3か月 | 請求・督促 | 4. リースバックを利用する 5. 通常の不動産売却・任意売却する 6. 個人再生で債務整理する |
滞納3〜6か月 | 期限の利益喪失と債権移管 | 4. リースバックを利用する 5. 通常の不動産売却・任意売却する 6. 個人再生で債務整理する |
滞納6〜10か月 | 競売開始決定と物件調査 | 4. リースバックを利用する 5. 任意売却する 6. 個人再生で債務整理する |
滞納10〜16か月 | 競売の入札から退去 | 4. リースバックを利用する 6. 個人再生で債務整理する |
1. 金融機関へ返済猶予の相談する
住宅ローンが払えない状態になった場合、まずは金融機関に連絡をして、返済額の見直しや返済期間の調整を相談しましょう(リスケジュール)。住宅ローンを滞納する前であれば、金融機関も親身に相談を聞いてくれて、返済を猶予してくれることが多いです。
2. 住宅ローンを借り換える
返済を猶予してもらえなかった場合は、別の金融機関への借り換えを検討しましょう。別の金融機関へ借り換えることで負担が軽くなり、住宅ローンを払い続けていける場合もあります。
3. 保険が適用できるか確認する
病気やケガで住宅ローンの返済が困難になったときは、保険が適用できるかどうか確認しましょう。住宅ローン契約時の「団体信用生命保険」や、ご自身で加入している保険が適用できるかを確認しましょう。
4. リースバックを利用する
リースバックを利用すると、自宅を売却しつつも、賃貸として引き続き住み続けることができます。リースバック会社へ自宅を売却し、その売却金で住宅ローンを返済した上で、賃貸として引き続き住み続ける仕組みです。リースバック専門店の「イエする」なら最短5日で現金化できるので、住宅ローンの支払いから早く解放されたい方や、現在の自宅にずっと住み続けたい方にはリースバックが最適です。
5. 通常の不動産売却・任意売却する
自宅を売却して解決する場合は、アンダーローン(売却額より残債額が少ない)かオーバーローン(売却額より残債額が多い)のどちらの状態であるかによって、対処方法が異なります。
アンダーローンの場合
アンダーローンの場合は、自宅を流通市場にて売却することでローンを完済できます。売却完了までは3か月〜6か月と時間はかかりますが、一番高く売れる可能性がある、通常の不動産売却をおすすめします。
オーバーローンの場合
オーバーローンの場合は、自宅を売却してもローンを完済できません。完済までの差額を別途用意できない場合は、任意売却を利用しましょう。差額を別途用意できる場合は、通常の不動産売却がおすすめです。
6. 個人再生で債務整理する
住宅ローン以外にも複数のローンを抱えている場合は、個人再生で「住宅資金貸付債権の特則(住宅ローン特則)」を利用することで、住宅ローン以外の債務を大幅に減らすことができます。他の借金の返済額が大幅に減ることによって、住宅ローンの支払いを続けていける場合は利用を検討しましょう。
また、住宅ローン特則を利用することで、住宅ローンをこれまで通り分割で支払っていくことができます。ただし、債務整理はたとえ住宅ローンを滞納していない段階であっても、信用情報機関へ事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されますので注意してください。
まとめ:できる限り競売は回避しよう
競売はデメリットが多いので、避けた方が良いでしょう。適切に対処できれば競売まで至りませんので安心してください。
住宅ローンの返済ができない問題は、非常に頭を悩ませることでしょう。しかし、同じような状況の方は他にも多くいらっしゃいます。現在の自宅にそのまま住み続けたい場合は、リースバック専門店「イエする」までお気軽にご相談ください。