不動産の買取は、簡単かつ早く不動産を手放すことができる方法ですが、市場価格よりも安くなります。では、なぜ買取は安くなるのでしょうか？
この記事では、不動産の買取価格が市場価格よりも安くなる理由をわかりやすく解説します。
なぜ不動産買取は市場価格よりも安くなるのか？
不動産の買取価格が市場価格よりも安く設定されるのには、いくつかの理由があります。その理由をみていきましょう。
- 瑕疵やトラブルがあるまま買取るため
- 不動産会社はリフォームして売却するため
- 不動産の取得や売却には諸経費などがかかるため
- 不動産会社の利益分が差し引かれるため
1. 瑕疵やトラブルがあるまま買取るため
不動産買取相場が低くなる主な理由は、不動産会社が物件を「現状のまま」「現状有姿」買取るためです。「現状渡し」とも呼ばれます。買取業者は、たとえ物件に雨漏りがあったり設備が故障など瑕疵やトラブルが存在していても、そのままの状態で買い取るリスクを負います。
契約不適合責任とは、契約内容に責任を持つことです。売却した不動産については、法律で「民法第562条：種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」と定められています。
2. 不動産会社はリフォームして売却するため
不動産会社が買取った物件は、不動産会社が費用をかけてリフォームやリノベーションなどを施して再販売します。建物の状態によっては更地にするために解体、整地、区割り、インフラ整備等の費用を負担することもあります。これらのリフォーム費用、解体費用、その他の費用などが、買取価格から差し引かれる形で反映されます。
3. 不動産の取得や売却には諸経費などがかかるため
不動産の取得や再販売には、税金や登記費用などの諸経費が発生します。これらの費用も、不動産会社が負担するため、買取価格はそれを考慮した上で設定されます。
4. 不動産会社の利益分が差し引かれるため
不動産会社は、ビジネスとして利益を追求します。したがって、買取価格は会社の運営コストや利益分を考慮して、市場価格よりも低く設定されます。
安くなっても買取が向いているケース
買取価格が低くても、状況によっては買取が最適な選択となることがあります。買取が適しているケースについてみてみましょう。
とにかく早く現金化したい
とにかく早く現金化したい場合は、不動産買取は最適です。買取の場合は条件の合意がスムーズに進めば、最短数日で現金化できることもあります。仲介による売却は一般的に3か月〜6か月くらいの時間がかかりますが、買取はスピーディに手続きが進むため、短期間で現金化できます。
仲介で売れなかった
仲介により流通市場で売却しようとしても売れなかった物件は、買取が最適です。立地が悪い、物件の状態が悪いなどの理由で売れない物件も、買取であれば売却できる可能性があります。しかし、売却の希望価格が高すぎることが売れない理由の場合には、仲介での売り出し価格を下げることで買い主が見つかる可能性がありますので、価格の見直しを先に行いましょう。
築年数が古くてリフォームが必要
築年数が経っており、大規模なリフォームが必要な場合、買取が適しています。古い物件の大規模なリフォームコストは高額になりますが、買取ならば不動産会社がそれを負担します。
契約不適合責任を避けたい
契約不適合責任を避けたい場合も、買取が適しています。通常は不動産を売却すると売主は契約不適合責任を負います。しかし買取では不動産会社が「現状のまま」買い取る条件であるため、売主は物件の隠れた欠陥やトラブルに対する責任を回避できることがあります。
事故・事件があった物件
事故や事件があった物件も、買取であれば売却可能です。一般の市場では売りにくい事故物件や事件物件でも、買取を利用すれば売却できる場合があります。不動産会社が適切なリフォームや建て替えなどを行います。
不動産買取のメリット・デメリット
不動産買取のメリットとデメリットを解説します。メリットとデメリットを確認し、適切な選択ができるようになりましょう。
不動産買取のメリット
不動産買取には、売却活動の手間やコストが省けるなど、多くのメリットがあります。不動産買取のメリットについて詳しく説明します。（実際には買取会社の条件により異なります。）
- 現金化が早い
- 仲介手数料がかからない
- 契約不適合責任が免除される
- 内覧対応などの売却活動が不要
不動産買取のデメリット
不動産買取のデメリットとして、市場価格よりも低く評価されることや、買取不可の物件も存在します。
- 市場価格より安くなる
- 物件によっては買取してくれない
- 買取を取り扱っている不動産会社が少ない
- 木造などで築20年を超えた建物には価格がつかない
少しでも買取価格を高くするためのコツ
不動産の買取価格は交渉次第で多少なりとも上げることが可能です。次のポイントを確認して少しでも高く売れるようにしましょう。
買取依頼時のタイミングとシーズン
不動産の価格は市場の需要と供給バランスで決まります。買取価格は季節によっても変動するため、タイミングを見極めることで少し高く売れる可能性があります。特に春は引っ越しシーズンのため、その前の1月〜3月の需要が高くなります。この時期に買取を依頼した業者が再販できるように、リフォーム等の時間を逆算して買取を依頼すれば、少しでも高い価格で買取ってもらえる可能性があります。
まとめ：安くても買取に合っている場合がある
不動産の買取には、瑕疵やトラブルのリスク、リフォームコスト、諸経費、利益分などが影響しています。市場価格よりも安い買取価格がつくことが一般的ですが、早く現金化したい場合などは安くても買取が適しています。適切なタイミングを見極めることで、少しでも高い価格での買取を目指すことができます。買取のメリット・デメリットを理解し、状況に合った最適な選択をしましょう。