「リバースモーゲージ型住宅ローン」と「住宅ローン」の違いは?「リバースモーゲージ」と「リバースモーゲージ型住宅ローン」は違うの?というご質問をよくいただきます。
「リバースモーゲージ型住宅ローン」とは、住宅関連のためにまとまった金額を一括して借りる「一括融資型」のことをさしています。
借入人が亡くなったときに、担保にした自宅を売却して借入金を返済すること、毎月の返済は利息分のみになること、高齢者向けのローンであることは、リバースモーゲージの仕組みと同じです。
この記事では、高齢者向けの金融サービスである「リバースモーゲージ型住宅ローン」について詳しく解説します。また、リバースモーゲージ型住宅ローンの仕組みと、従来の住宅ローンとの違いについてもみていきましょう。
リバースモーゲージ型住宅ローンとは?
リバースモーゲージ型住宅ローンと聞くと、住宅金融支援機構と提携している金融機関が提供する「リ・バース60」が思い浮かぶと思います。リバースモーゲージ型住宅ローンの仕組みと、従来型の住宅ローンとの違いをみていきましょう。
リバースモーゲージ型住宅ローンの仕組み
リバースモーゲージ型住宅ローンは、高齢者が自宅を担保にして借り入れを行い、その借り入れ金を自宅のリフォーム・建て替えなどの「住宅関連」に充てることをさします。
借入人が亡くなったり、指定された期間が経過したりすると、自宅が売却されその売却代金で借り入れ金を一括返済します。
リバースモーゲージ型住宅ローンは一般的な住宅ローンとは異なり、毎月の返済時に元本の返済は行わず、利息分のみを返済します。
リバースモーゲージと従来型住宅ローンの違い
リバースモーゲージ型住宅ローンと従来型の住宅ローンとの違いは主に3つあります。
- 返済の違い
従来型の住宅ローンは「元本と利息」を月々返済し完済を目指しますが、リバースモーゲージ型住宅ローンでは生前は「元本」の返済が原則として必要なく「利息分のみ」を返済します。 - 年齢制限
従来型の住宅ローンは20代や30代の若い世代も利用できますが、リバースモーゲージ型住宅ローンは高齢者が主な対象となっており、通常は65歳以上、金融機関によっては50歳以上から利用できます。 - 相続できるかできないか
従来型の住宅ローンはローンを完済すれば、家を資産として相続人に相続させることができますが、リバースモーゲージ型住宅ローンは借入人が亡くなった時に売却して返済するため、子どもなどに相続することができません。
リバースモーゲージ型住宅ローン | 住宅ローン | |
---|---|---|
返済 | 利息のみ | 元本と利息 |
年齢制限 | 原則60歳以上(リ・バース60の場合) | なし |
相続 | 亡くなった時に自宅を売却されるので相続できない | 住宅ローン完済後は、相続できる |
リバースモーゲージ型住宅ローンの活用事例
リバースモーゲージ型住宅ローンは、住宅関連の多様なシーンで活用可能です。具体的な活用事例を紹介します。
自宅を建て替える
リバースモーゲージ型住宅ローンは、自宅を建て替える費用を借りるときに利用することができます。たとえば、自宅が古くなり建て替えを検討しているが、高齢になってからの大きな出費は避けたいと考える方に、リバースモーゲージ型住宅ローンは適しています。
自宅をリフォームする
リバースモーゲージ型住宅ローンは、リフォーム費用を借りるときにも使えます。たとえば、バリアフリーリフォームや老朽化による修繕など、自宅を住みやすく改装するための費用を借りることができます。
住宅ローンを借り換える
リバースモーゲージ型住宅ローンは、既存の住宅ローンの借り換えにも利用できます。高齢になり収入が減少した場合でも、住宅ローンを借り換えることで、利息分のみの返済になるので、返済金額の負担を軽減することができます。
子どもの住宅購入資金を援助する
リバースモーゲージ型住宅ローンを利用して、子どもの住宅購入資金を援助することも可能です。自身の自宅を担保にしてローンを借りて子どもへの援助に回すことで、資産を生かしながら次世代への支援を行うことが可能です。
リバースモーゲージ型住宅ローンのメリット
リバースモーゲージ型住宅ローンには、他のローンと比較して独特のメリットがあります。特に高齢者にとってメリットとなる特徴をみてみましょう。
毎月の支払いは利息のみ
リバースモーゲージ型住宅ローンの最大の特徴とも言えるメリットが、毎月の支払いが利息分のみである点です。これは、元本の返済は亡くなったあとに自宅不動産を売却して返済するため、生前は元金の返済が必要がありません。
たとえば、月々の返済額が通常の住宅ローンであれば10万円であったとすると、リバースモーゲージ型住宅ローンでは利息分のみ、3万円程度になる場合があります。これにより、月々の出費を大幅に抑えることが可能となります。
自宅を担保にできる
リバースモーゲージ型住宅ローンでは、自宅を担保にして融資を受けることができます。このため、不動産を所有しているが手元に現金がないという高齢者にとって、自宅に住み続けながらその価値を活かして資金を確保できる手段となります。
たとえば、所有する自宅が5,000万円の価値があるとすると、その50%〜70%を借りることができます。
リバースモーゲージ型住宅ローンのデメリット
リバースモーゲージ型住宅ローンには、数々のメリットがありますが、それと同時にデメリットも存在します。
住宅ローン控除は利用できない
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んだ人が利用できる税制優遇措置であり、所得税や住民税から一定額を控除することができます。しかし、リバースモーゲージ型住宅ローンでは住宅ローン控除を利用することはできません。
利息の支払いが終わらない
リバースモーゲージ型住宅ローンは生前の元本の返済がない代わりに、生きている間はずっと利息分の返済が続きます。そのため、長期間にわたりリバースモーゲージを利用すると、利息の支払いが高額になる可能性があります。
家を相続させることはできない
リバースモーゲージ型住宅ローンを利用した場合、家を子どもや配偶者などに相続させることはできません。これは、借入人が死亡した場合、ローンの担保となっている家がローン返済のために売却されるためです。
団体信用生命保険の加入はできない
リバースモーゲージ型住宅ローンは団体信用生命保険の加入ができません。従来の住宅ローンでは本人が亡くなった場合、団体信用生命保険の保険金で残りのローンを返済できますが、リバースモーゲージ型住宅ローンではそのような制度がありません。相続人への残債の請求を避けたい場合は、ノンリコース型の契約を選びましょう。
リバースモーゲージの3大リスクがある
リバースモーゲージには、必ず確認するべき3大リスクがあり、「金利上昇リスク」「不動産価格下落リスク」「長生きリスク」です。
特にご注意いただきたいのは、自宅で生活ができるくらい元気に長生きしたことで、望まない結果をまねくことがある点です。リスクをよく理解してから利用の検討をしてください。
リバースモーゲージ型住宅ローンの適用条件
リバースモーゲージ型住宅ローンの適用条件と、申し込みの流れを紹介します。
リバースモーゲージの適用資格
リバースモーゲージ型住宅ローンを利用するには、条件を満たす必要があります。住宅金融支援機構と提携している金融機関が提供する「リ・バース60」の条件を紹介します。
住宅金融支援機構のリバースモーゲージ「リ・バース60」
ご利用いただける方 | ・借入申込日現在で満60歳以上である方(満50歳以上も利用できる場合がある) ・年収に占める全ての借入れに関する年間返済額および年間支払額の合計額の割合が次の基準を満たしている方(年収400万円未満の場合:30%以下、年収400万円以上の場合:35%以下) |
資金の使いみち | ・ご本人が居住する住宅の建設資金または購入資金 ・住宅のリフォーム資金 ・住宅ローンの借換資金 ・サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金 ・子世帯などが居住する住宅の取得資金を借り入れるための資金 |
ご融資の限度額 | 満60歳以上:50%または60% |
融資金利・手数料 | 金融機関により異なる |
担保(抵当権) | 融資対象住宅および土地に対して、金融機関を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定 |
融資対象住宅 | 新耐震基準(昭和56年6月1日以後の建築基準法に定める耐震基準)相当の耐震性を有することが必要 |
保証人 | 不要 |
参考:住宅金融支援機構 60歳からの住宅ローン【リ・バース60】
これらはあくまで基本的な条件であり、金融機関によってはさらに細かい条件が設けられることもあります。具体的な条件は各金融機関へお問い合わせください。
申込から契約までの流れ
リバースモーゲージ型住宅ローンの申し込みから契約までの基本的な流れは以下の通りです。
リバースモーゲージが利用できない方はリースバックがおすすめ
リバースモーゲージが利用できない方、あるいはリバースモーゲージの条件に合わない方は、リースバックがおすすめです。
リバースモーゲージは、年齢制限や所有する不動産の条件などを満たさない場合、利用することは難しいです。そこでリースバックが登場します。
リースバックは、自分の所有する不動産をリースバック会社に売却し、そのあとは賃貸として借りることで住み続ける仕組みです。売却により一時的に大きな資金を得ることができ、それを生活資金や医療費など自由に活用することができます。
もし、リバースモーゲージが利用できない場合でも、自宅に住み続けたい、かつ、自宅を活用した資金調達を希望する方は、リースバックが適した選択となるでしょう。ただし、リースバックにもメリットとデメリットが存在します。今後のライフプランや資産状況に応じた最適な選択をしましょう。
リースバックで得た資金は使い方が自由
リバースモーゲージと比較すると、リースバックで得た資金の自由度に魅力を感じるでしょう。リースバックで得た資金は使い道に制限がありません。下記のような、リバースモーゲージで実現したいことも、リースバックでも実現することができます。
リースバックで自宅をリフォームする
リースバックで得た資金は、自宅のリフォームに充てることも可能です。生活しやすいようにバリアフリー化をする、老後の趣味に合わせて部屋の使い方を変えるなど、自由度の高いリフォームが可能となります。
ただし、リースバックでは自宅の所有権がリースバック会社に移りますので、リフォーム工事をするときは新所有者の許可が必要になります。
リースバックで住宅ローンを完済する
リースバックで既存の住宅ローンを完済することも可能です。毎月のローン返済の負担から解放され、家賃の支払いに代わることで、毎月の負担額が少なくなるケースが多いです。
リースバックで子どもの住宅購入資金を援助する
リースバックで得た資金を使って、子どもや孫の住宅購入資金を援助することもできます。このような贈与行為は贈与税が発生する可能性があるため、税金の知識が必要ですが、適切な対応をすれば次世代への支援として活用できます。
直系尊属へ住宅購入のための資金を援助した場合に、一定金額が非課税となる税制優遇制度もありますので上手に活用しましょう。
参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
リースバックの相談は専門店にしよう
リースバックは、資金調達の方法として利用するだけでなく、その利用方法によりご自身の生活をより豊かにすることができます。ただし、リースバックもメリットデメリットがあり、それぞれのライフスタイルや資産状況により最適な選択は変わります。
専門的な知識を持つ人に相談しながら、最善の選択を行いましょう。リースバック専門店の「イエする」は無料でご相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。