リバースモーゲージは金融商品ですので、ローンと同じです。つまり、金利に合わせて利息を支払う必要があります。
リバースモーゲージを検討する際、金利がどのように動くのか、金利が変動することでどのようなリスクがあるかご存知でしょうか?
この記事では、リバースモーゲージの金利の変動リスク、金利計算方法まで詳しく解説します。金利のリスクを知ることで、ご自身に合った安心の老後資金プランを立てましょう。
リバースモーゲージの金利と相場
リバースモーゲージの金利とその相場についてみてみましょう。ここでは、リバースモーゲージは変動金利であること、金利相場とは何か、そして金利の計算方法について解説します。
リバースモーゲージは変動金利
リバースモーゲージは一般的に変動金利が使われており、市場の金利に連動して上がったり下がったりします。そのため、金利が下がれば利息も下がりますが、金利が上昇すれば支払う利息が増えることになります。
リバースモーゲージは「融資」なので、借りたお金に対する「金利」に合わせて「利息」を支払います。そのため、金利が高いほど支払う利息の負担は大きくなるのです。
リバースモーゲージも金融機関によっては固定金利を選べる商品がありますが、どちらの金利タイプを選ぶかは借りる人の経済状況や金利の見通しによるため、慎重に選びましょう。
変動金利と固定金利の違い
金利には基本的に「固定金利」と「変動金利」の2つのタイプがあります。固定金利はローン全期間あるいは特定の期間、金利が一定になります。
固定金利はローンを組むときの金利が、ローンが終わるまで変わらないため、返済額も一定です。メリットとしては金利が上昇しても返済額が変わらないため、資金計画が立てやすいです。しかし、一般的には変動金利よりも高めの金利が設定されることが多く、長期間低金利が続いた場合、総返済額は多くなります。
一方、「変動金利」は定期的に金利が見直され、返済額が変動します。この金利タイプを選ぶ人が多く、現在主流となっています。メリットとしては、一般的に固定金利よりも低く設定されることが一般的です。ただし、金利が上昇すれば返済額も増えますし、将来の金利は確定せず、総返済額も不確定になります。
国土交通省の発表によると、令和3年度は「変動金利型」の割合が「76.2%」と最も高くなっています。
参考:国土交通省 住宅局(令和5年3月)令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
リバースモーゲージの金利相場とは?
リバースモーゲージの金利相場は、一般的な住宅ローンと比べると高めになり、おおよそ3%前後に設定されています。住宅ローンの金利はおよそ年0.4%〜年1.5%なので、リバースモーゲージの金利が高く設定されていることがわかります。
この理由は、リバースモーゲージは、契約者が亡くなったり老人ホームなどの施設に入所したりすると契約が終了します。その際に住宅の価格がローン残債より下回った場合、金融機関はその差額を損失として計上します。こういったリスクがあるため、リバースモーゲージの金利は一般的な住宅ローンよりも高く設定されています。
みずほ銀行の「みずほ リ・バース60」は変動金利か固定金利を選べますが、固定金利の方が変動金利より高く設定されています。
みずほ リ・バース60 | |
変動金利方式 | 年率2.475% |
固定10年 | 年率2.70% |
固定20年 | 年率3.00% |
上記のように、金利は各金融機関の商品によって異なるため、各金融機関のウェブサイトを参照することで確認できます。
一般的には、短期プライムレート(主要な銀行が最も信用力のある企業に対して適用する、1年以内の短期貸出の金利)を基準としてリバースモーゲージ用の金利を1%ほど上乗せする金融機関が多いようです。令和5(2023)年6月9日の短期プライムレートの最高値は「1.725年%」です。
参考:日本銀行 長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降
金利の相場を知ることで、負担することになる金額を把握し、リバースモーゲージが自分のライフプランに適しているかどうかを確認しましょう。
リバースモーゲージの金利計算方法
リバースモーゲージの利息は、借り入れ額と金利から計算します。下記では具体的な事例を見ていきましょう。
一括で借りて毎月利息のみを返済するケース
自宅の評価額が4,000万円で、2,000万円を金利3%で借り入れた場合、年間の利息は60万円になり、月々の計算は5万円になります。
不動産評価額:4,000万円
借入上限額:2,000万円〜2,800万円(不動産評価額の5割〜7割)
金利:3%
年間の利息:60万円
毎月の利息:5万円
リバースモーゲージは、借入金の元本は減らないため、生きている間はずっと利息を支払い続けることになります。
三井住友銀行のウェブサイトでは、リバースモーゲージ型住宅ローンの簡易シミュレーションができます。
参照:三井住友銀行 リバースモーゲージ型住宅ローン借り換え新時代 シミュレーション
リバースモーゲージの金利上昇リスク
リバースモーゲージには、必ず確認するべき3大リスクがあり、「金利上昇リスク」「不動産価格下落リスク」「長生きリスク」です。
特に金利の上昇は、返済金額を増加させ、生活を圧迫させるリスクがあります。ここでは金利上昇リスクについてみていきましょう。
金利上昇リスク
前述した通り、一般的にリバースモーゲージの金利は変動金利です。そのため、金利が上昇した場合は下記の影響があります。
- 利息の返済金額が増える
- 借りられる金額が減る
利息の返済金額が増える
一括でまとまったお金を借りて毎月利息のみを返済する「一括融資型」の場合は、金利が上がることで、毎月の返済額が増えることになります。
変動金利契約の場合、一定期間ごとに金利が見直されるため、金利が上昇すると返済額が増加します。これは特に、収入が固定の高齢者にとって大きな負担となってしまうでしょう。
たとえば1,000万円を借りたとして、金利が1%上昇したら年間の利息は10万円増えます。そうすると、毎月の返済額が8,400円ほど増えるのです。
リバースモーゲージは元本の返済はしないので、契約者が生きている間はずっと利息を返済し続ける必要があります。そのことで、想定していたよりも毎月の返済額が多くなってしまうリスクがあり、少しの上昇でも、期間が長くなると返済金額は膨らんでいくことになります。
借りられる金額が減る
毎月の返済で、決まった金額を定期的に受け取る「年金型」契約の場合は、利息分が借入残高に加算されるので、金利が上昇すると借りられる金額が少なくなります。最悪の場合は、金利の上昇のせいで借入残高が借入上限額を上回り、上回った分の返済を請求されることになります。
金利が変動する要因とは
金利は経済のさまざまな要因によって変動します。ここではその中でも特に影響力が大きいとされる、「景気」「物価」「為替相場」について見ていきましょう。
「景気」による金利変化
一般的に、景気が良くなると金利が上昇し、景気が悪くなると金利が下降します。なぜなら、景気が良くなると企業の収益が増え、それに伴って資金需要が増えるためです。実際に、バブル経済期の日本は景気が非常に良く、それに伴って金利も上昇しました。
「物価」による金利変化
物価の上昇(インフレーション)が進むと、中央銀行は物価の上昇を抑制するために金利を引き上げることがあります。一方、物価が下がる(デフレーション)ときは、経済活動を活発化させるために金利を下げることがあります。
2000年代初めのころの日本は、デフレーションが進行し、それを打破するために日本銀行は金利を引き下げました。
「為替相場」による金利変化
為替相場と金利は密接に関係しています。一般的に、金利が高い国の通貨は、投資を引きつけるために価値が上昇します。逆に、金利が低い国の通貨は価値が下がる傾向にあります。
たとえば円安・ドル高の場合、ドルで預金や資産運用をする人が増えることで、円の預金解約などが増えると円の金利が上がると考えられます。
また、1ドルが100円だったのが140円になることを円安といいますが、円安の時は輸入価格が上がります。輸入の価格が上がることで物価が上がり、金利が上がる傾向になります。
リバースモーゲージと他のローンの金利比較
リバースモーゲージの金利と他のローン商品の金利を比較してみましょう。一般的な住宅ローンと、カードローンをみていきます。
住宅ローンとリバースモーゲージの金利比較
住宅ローンとリバースモーゲージの金利を比較すると、リバースモーゲージの金利の方が高めに設定されています。
変動金利型
住宅ローン | リバースモーゲージ | |
---|---|---|
三井住友銀行 | 年0.475%〜 | 年2.975%~ |
みずほ銀行 | 年0.375%~ | 年2.475%〜 |
この理由は、リバースモーゲージで元金が返済されるのは借り手が亡くなった後という、他のローンとは異なる返済方法のためです。これにより、金融機関にとってリスクが高まるため、金利が他のローンに比べて高く設定されます。
しかし、リバースモーゲージは元本の返済が不要で、売却時に一括返済となるため、借主にとっては返済の負担を長期間、延期できるメリットがあります。
カードローンとリバースモーゲージの金利比
次に、カードローンとリバースモーゲージの金利を比較すると、リバースモーゲージの金利の方が、低い傾向にあります。
カードローン | リバースモーゲージ | |
---|---|---|
三井住友銀行 | 年1.5%~14.5% | 年2.975%~ |
みずほ銀行 | 年2.0%〜14.0% | 年2.475%〜 |
この理由は、カードローンは無担保ローンであるため、リスクが高いとされています。一方、リバースモーゲージは住宅を担保としているため、金利に反映されています。
国や自治体が提供するリバースモーゲージの金利
リバースモーゲージは、民間の金融機関だけでなく、国や自治体が運営する機関でも提供されています。その金利はどのように設定されているのかをみていきましょう。
国が運営するリバースモーゲージの金利
国や自治体が運営する公的なリバースモーゲージは「不動産担保型生活資金」といいます。(2009年9月以前の名称は「長期生活支援資金」)これは、高齢者の生活保障の一環として導入され、低所得の高齢者を対象にしています。
金利が低いことが特徴で、年3%か長期プライムレートの低い方になるので、金利が上がっても年3%以上を支払う必要がありません。
運営しているのは都道府県の社会福祉協議会で、市区町村の社会福祉協議会が窓口となります。
参考:社会福祉法人全国社会福祉協議会 都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)
住宅金融支援機構のリバースモーゲージの金利
住宅金融支援機構のリバースモーゲージは、住宅金融支援機構と提携している金融機関が提供するリバースモーゲージで「リ・バース60」と呼ばれます。
満60歳以上の人が対象で、リフォームや建替えに利用でき、生活資金には利用できません。金利や資金の使い道、融資の限度額は各金融機関により異なります。
参考:住宅金融支援機構 60歳からの住宅ローン【リ・バース60】
金利問題をクリアする選択肢:リースバックの紹介
リバースモーゲージは、確かに老後の生活資金の確保に役立つ一方で、金利の問題を抱えています。それを解決するための選択肢として、「リースバック」が注目されています。
リースバックなら金利は発生しない
リバースモーゲージの3大リスクの一つは、金利上昇による返済額の増加です。一方、リースバックならば、その問題は解消します。なぜなら、リースバックは借り入れではないため、金利が発生しないからです。
リースバックは、所有している自宅(不動産)を売却し、その後は賃貸として住み続けるという仕組みです。リースバックでは、自宅を売却するためまとまった金額を手にすることができ、支払う家賃は毎月一定になります。金利の上昇で家賃が上がるリスクが発生することはありません。また、固定資産税などの税金も支払う必要が無くなります。
あなたに合った選択は?リバースモーゲージとリースバック
リバースモーゲージとリースバックは、どちらも自宅を活用して資金を得る方法ですが、その仕組みは大きく異なります。リバースモーゲージは、お金を借りるため金利が発生しますが、自己の所有物として自宅を維持できます。一方、リースバックは、自宅を売却するので所有権が移転しますが、金利や税金の負担を回避できます。
どちらの選択が合っているかは、今後の理想の暮らし方によります。自宅を所有し続けることが重要か、それとも金利負担を避けることが重要か、お悩みでしたらリースバック専門店の「イエする」にご相談ください。
安心の老後生活にはリースバックがおすすめ
最後に、自分自身のライフプランに合った選択をすることが何よりも重要です。銀行からリバースモーゲージを紹介されたとしても、実際はリースバックの方が合っている方は多いです。
リバースモーゲージもリースバックも、それぞれの特性を理解し、自分の状況に合わせて活用すれば、安心して老後を過ごすことができるでしょう。専門家の意見も参考にしつつ、慎重に考え、最善の選択を行いましょう。
当社「イエする」はリースバック専門店で、リバースモーゲージとリースバックどちらがいいか?というご相談を数多く受けてきました。詳しくお話しを伺うと、リースバックの方が適しているケースが多くあります。まずは、今後の理想の生活をお聞かせください。全国対応のリースバック専門店「イエする」が、適切なアドバイスを行います。