リースバックを利用すると、家を売却しても住み慣れた自宅に住み続けることができますが、家賃が支払えないと、最終的には家から退去させられてしまいます。
この記事ではリースバックを利用していて家賃が支払えなくなってきた方へ、家賃を払えない(滞納)とどうなるのか、そしてその時の対処法を解説します。
さらに、リースバックを検討しているけれど、住宅ローンも払えないのに家賃も払えないのではないか?と、ご不安な方は参考にしてください。
リースバックの家賃が払えなくなる理由
せっかくリースバックを利用しても、家賃を払えなくなる方がいます。なぜリースバックの家賃を払えなくなるのか、よくある理由をみてみましょう。
①病気やけが
仕事をしていれば収入があるので、家賃を払い続けられる人が多いでしょう。しかし病気やけがをしてしまうと、働けなくなってしまいます。
たとえば、うつ病などの病気や怪我で仕事を辞めてしまったら家賃を払えなくなってしまう方が多いでしょう。 病気や怪我で収入がなくなり、リースバックの家賃を払えなくなるパターンは数多くみられます。
②リストラ
リストラに遭って仕事を失うと、リースバックの家賃は払えなくなってしまいます。すぐに転職先が見つかって収入を確保できれば良いですが、そうでない場合には滞納してしまうでしょう。 3
③突発的な出費
子どもなど家族の病気や、離婚などの突発的な出費がかさむと、通常時には払えていた家賃を払えなくなる可能性があります。常日頃から少しは貯蓄をしておいて、何かあったときに備えられるようにしておきましょう。
リースバックの家賃は相場より高くなる場合がある
リースバックの家賃を払いにくい理由として、リースバックの家賃は近隣の相場より高くなる場合があります。
リースバックの場合、対象不動産の買取価格に対して「利回り」を基準に計算して家賃額が定められるので、近隣の相場とは異なる方法で算定されます。その結果、近隣の家賃相場より家賃が高くなるケースがあります。
家賃が高額になって払えなくなる方も少なくありません。
リースバックの家賃が払えなくなったらどうなる
リースバックの家賃を払えなくなったらどのような問題が起こるのでしょうか?以下でよくあるトラブルをみてみましょう。
督促される
リースバックの賃料を払うのは、借りている人の義務です。その義務を果たさなければ、貸主である不動産会社から賃料支払の督促(とくそく)が来ます。
賃貸借契約を解除される
督促が来ても賃料を払わなかったら、リースバックの契約(賃貸借契約)を解除されてしまいます。解除されると、家には住めなくなってしまいます。早々に別の引越し先を見つけて退去しなければなりません。
裁判を起こされることも
リースバックの賃料を払わずに放置していると、訴訟(裁判)を起こされる可能性もあります。裁判の判決で明渡し命令が出ても従わなかったら、強制退去させられてしまいます。
遅延損害金が加算されることも
リースバックの賃料を期日までに支払わない場合、遅延日数分の遅延損害金が加算される可能性もあります。つまり遅延損害金の分、支払額が高額になってしまうのです。
督促されたときに任意に支払う場合には遅延損害金までは請求されないケースも多いですが、訴訟になれば多くのケースで遅延損害金が加算されて請求されます。
リースバックの家賃滞納(家賃が支払えない)から退去までの流れ
リースバックの家賃を払えず滞納すると、最終的には家から退去させられてしまいます。以下ではリースバックの家賃を払えなくなってから退去までの流れを説明します。
まずはリースバック会社や、リースバック会社から委託を受けている不動産管理会社から家賃の支払いを催促や督促する連絡が来ます。電話や普通郵便で連絡が来ることが一般的です。
家賃を支払わない限り、何度も督促されるケースが多数です。
リースバックを利用する際には、連帯保証人をつけているケースがあります。親や子ども、兄弟姉妹などの親族に連帯保証人をお願いするのが一般的です。
その状態でリースバックの賃料を滞納すると、保証人や連帯保証人へ賃料を請求されてしまいます。保証人にも迷惑をかけてしまうでしょう。
リースバックの利用時に家賃保証会社を利用した場合、家賃を滞納すると家賃保証会社が立て替え払いを行います。
するとその後は、家賃保証会社が債権者になるので、立て替えた家賃について家賃保証会社から督促されます。
家賃を滞納したまま放置していて、連帯保証人などからも家賃が払われない状態が続くと、リースバック会社や不動産管理会社から内容証明郵便で家賃の請求書が届くケースが多数です。
内容証明郵便が届くのは、滞納後2~3か月程度になるケースが多数です。
内容証明郵便とは
郵便局が書面の内容を証明してくれる郵便です。手渡し式で確実に請求した証拠を残せるので、通知書や請求書、督促書などに使用されるケースが多くなっています。
内容証明郵便で家賃の督促書が届いても支払わない場合、賃貸借契約を解除されてしまいます。家賃支払いは賃借人の重要な義務であり、それを果たさないと賃貸人への重大な背信行為となってしまうためです。
ただし家賃を滞納したからといって、すぐに賃貸借契約が解除されるわけではありません。法律上は、概ね滞納金額が3か月分程度になってから賃貸借契約を解除できると理解されているためです。
以上より、家賃を滞納し始めてから3か月以上が経過したら、内容証明郵便で賃貸借契約の契約解除通知が届くケースが多いと考えましょう。
賃貸借契約を解除されたら、もはや家に住み続けることはできません。速やかに退去する必要があります。引越し先を決めて早めに自主退去しましょう。
賃貸借契約を解除されても自分から家を退去しない場合、リースバック会社や家賃保証会社が訴訟を起こしてくる可能性があります。
この場合の訴訟は「滞納家賃請求」と「明渡請求」の訴訟です。
判決が出ると、滞納家賃や解除後の賃料相当損害金、遅延損害金の支払い命令と、家の明渡し命令が出てしまいます。
判決どおりに支払いをしないと、預金や給料を差し押さえられる可能性がありますし、明渡し命令に従わないと強制退去させられる可能性もあります。
判決で物件の明渡命令が出ても自主的に退去しない場合、リースバック会社や家賃保証会社が強制執行の手続きをとる可能性があります。
強制執行とは、裁判所の力を借りて債務者(居住者)を強制的に退去させる手続きです。当日は執行官とリースバック会社や家賃保証会社の担当者、弁護士などが一緒にやってきて荷物を家から出されて強制的に退去させられてしまいます。
強制退去になると不利益が大きくなるので、そのようなことになる前に、自主的に退去しておいた方が良いでしょう。
リースバックの家賃が払えなくなる前にできること
リースバックの家賃を払えなくなってしまったら、最終的には強制退去させられてしまいます。そんなことになる前に、どういった手段をとれるのかみてみましょう。
リースバック会社や不動産管理会社と相談する
家賃を払えなくなってもすぐにあきらめるのではなく、リースバック会社や不動産管理会社と相談してみることをおすすめします。
たとえば今すぐには支払いができなくても、転職に成功すれば支払えるケースもあるでしょう。たまたま出費が多くて家賃を払えなかった月があっても、次の給料日には家賃を支払える可能性があります。
いつまでに支払えるのかを約束できれば、リースバック会社や不動産管理会社も無理に明け渡しを求めたりはしにくいものです。
今月は家賃を払えないと思ったら、早い段階でリースバック会社などに連絡をして、状況を伝えてとりうる方法を相談してみてください。
住宅確保給付金を利用する
2つ目は、住宅確保給付金制度の利用です。住宅確保給付金とは、収入の低下などの事情で家賃を払えなくなった人のため、自治体が窓口となって家賃の支援をしてくれる制度です。
申請が通れば原則として3か月間(最長9か月間)、自治体から家主へ直接家賃の一部が支払われます。
住宅確保給付金を利用できる人
住宅確保給付金を利用できるのは、「離職・廃業から2年以内または休業等により収入が減少し住居を失うおそれがある」人です。会社員やアルバイト、自営業者やフリーランスでも利用できます。
たとえば以下のような場合、住宅確保給付金を利用できる可能性があります。
- スポーツジムが一部休業することとなり、週4~5日活動していたところ、週2~3日程度以下となってしまったスポーツジムインストラクター
- 参加予定であった海外からのゲストを招いた2週間のイベントが中止となったフリーの通訳者
- アルバイトを2つ掛け持ちしていたが、景気の悪化により1つが休業となり、シフトがなくなった人
- 宿泊者のキャンセルが相次いだ旅館業の経営者
住宅確保給付金には収入や資産に関する要件もあります。各自治体が窓口になっているので、利用したい方は一度、自治体へ相談してみると良いでしょう。
親族などへ立替をお願いする
自力ではどうしても家賃を払えず住宅確保給付金の要件も満たさない場合などには、親族などの周囲の人へ援助をお願いするのも1つの方法となります。
親族等が支援してくれれば、一時的に滞納家賃を払うことができます。その間に生活を立て直して、自力で払えるように算段しましょう。
リースバックの家賃の決まり方
そもそもリースバックの家賃はどのようにして決定されるのでしょうか?
リースバックの家賃は近隣の相場によって決まるものではありません。リースバック会社の「期待利回り」によって決定されます。
利回りとは、買取価格に対する年間の利益の割合をいいます。リースバック会社としては、リースバックで物件を購入した以上、利益を出さなければなりません。そのためには一定以上の利回りが必要です。そこで家賃設定の際、期待する利回りを適用して金額を定めるのです。
リースバックの買取価格 × 期待利回り(7~12%程度)= 年間の家賃額
年間の家賃額 ÷ 12 = 毎月の家賃額
リースバックの家賃計算の具体例
たとえばリースバックで家が1,500万円で売れたとしましょう。このときのリースバック会社の期待利回りを10%とします。すると、年間の家賃額は150万円です。これを12か月で割り算すると、毎月の家賃額は12万5千円となります。
1,500万円 × 10% = 150万円
150万円 ÷ 12 = 12万5千円
リースバックの家賃を安くする方法
リースバックで家賃が高くなりすぎると、支払いが厳しくなってしまいます。家賃をなるべく下げるには、どうすれば良いのでしょうか?
家の買取価格を上げない
まずは家の買取金額を上げないことが重要です。
リースバックの家賃は「家の買取価格に対する期待利回り」で決まるからです。つまり買取価格が上がると、その分家賃も上がってしまいやすくなります。
そこで、家賃を下げたいなら「家の買取価格を下げる方法」が効果的です。
リースバックの条件を決める際、必要な資金のぎりぎりまで売却価格を抑えれば、その分家賃は低くしやすいでしょう。たとえば住宅ローンさえ完済できれば良いのであれば、住宅ローンの残債と手数料程度の最低額を買取価格に設定し、自分からリースバック会社へ提案してみてください。
リースバック会社へ家賃を下げてほしい希望をはっきり伝える
リースバックの家賃を下げたい場合、リースバック会社へその希望をはっきり伝えましょう。
リースバックの時に何を重視するかは以下のように人によって異なります。
- なるべく長く住みたい
- 家賃を抑えたい
- なるべく高く家を売りたい
- 家に住むのは一時的でかまわない
- 住宅ローンを完済したい
このように人によって着目するところが異なるのです。そこでリースバック会社は、お客様のニーズに応じてプランを組みます。
家賃を抑えたいならその旨をはっきり伝えないと、リースバック会社としても何を重視して良いかがわからず適切な対応ができません。
家賃に関して不安があるならその気持ちや要望をはっきりリースバック会社に伝えて対処方法を相談しましょう。
複数のリースバック会社を比較する
リースバックの家賃を抑えたいなら、複数のリースバック会社へ相談して比較することをおすすめします。リースバック会社により、買取価格や期待利回りが違ってリースバックの家賃が変わるためです。
またリースバック会社を選ぶときには、利用者の希望をもとにフレキシブルに対応してくれるリースバック専門会社を選ぶのが良いでしょう。
大手の不動産リースバック会社は家賃が高かったり、柔軟に対応してくれないという声をよく聞きますし、断られてしまう方もいらっしゃいます。
リースバックの家賃を払えなくなる前に資金の準備を
リースバックの家賃を払えなくなる理由はさまざまです。家賃を払えなくなってしまったら、最終的に家から退去させられてしまいます。そのようなことになる前に、家賃を払えるよう資金を準備しましょう。
そしてリースバックの家賃を抑えたいなら、リースバック専門店に相談して状況を伝え、家賃を抑えたプランを提示してもらう方法がおすすめです。
リースバックを利用すれば家の売却金も入ってくるので、少しの期間収入が途絶えても家賃を払える方が多数です。
リースバックに関心をお持ちの場合、リースバック専門店である「イエする」までお気軽にご相談ください。「イエする」は専門店ですので、家賃の計算も単純な利回り計算ではなく、お客様のご事情、ご都合に寄り添ったご提案を行っています。